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大学生活・研究室生活・留学に関することを中心に発信しています。

海外大学院受験で全落ちしないために

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こんにちは、Naoki Oguri(@Wynne_D_)です。

海外大学院の出願時期が近づいてきた。来年からの大学院留学を目指している方は、そろそろ出願準備で忙しくなってきた頃ではないだろうか。

さて、本題に入ろう。出願先から不合格通知が届くのは珍しくない。それは、人生において最大級に辛い出来事になりえる。非常に残念なことであるが、出願した全ての大学院から不合格通知を受け取ってしまう人は毎年一定数いる。私は運良く合格をいただくことができたが、トータルで6つの不合格通知が届いた。進学先をなんとか確保できた私でも、不合格通知を受け取ったときは辛かった。全落ちしてしまうともっと落ち込んでしまうと思うし、自身のキャリアプランに致命的なダメージを与える可能性もあるので、なるべく避けたい。

上記のMr. ベイエリアさんのツイートは的を射ていると思う。では、確実に進学先を確保するためにはどうすればいいだろうか?本記事では、全落ちを避ける為の方法を挙げてみようと思う。私はすでに大学院を辞めているので何も偉そうなことは言えないのだが、アメリカとイギリスの複数の大学院から合格をもらった経験があるので、私の経験が留学希望者の役に立てば嬉しい。

海外大学院について詳しくない方は、以下の記事を読んでから本記事を読んだ方がわかりやすいと思われる。

アメリカ大学院の院試について:日本の院試との違いと出願に必要なもの【理系学生向け】

どっちを選ぶ?アメリカ大学院とイギリス大学院の違い

なるべく早い時期に出願する

なるべく早い時期に出願した方が有利である場合がある。特に、イギリスはローリングシステムを採用している大学院が多く、早い時期(9〜11月)に出願すると有利になる。ローリングシステムとは、「合格基準に達した者には即合格を与える」という審査方法である。つまり「早い者勝ち」だ。アメリカの大学院でも、早期に出願した方が有利になるケースがあると小耳に挟んだことがある。

ローリングシステムを採用しているか否かは大学院や学科ごとに違うと思うので、学科のAdmission Officeに直接問い合わせてみてもよいかもしれない(教えてくれないかもしれないけど)。

早期出願が有効とは言っても、焦って出願した結果、出願書類の質が低くなってしまえば元も子もない。ゆとりをもって出願準備を始めよう。出願手続きの全てを英語で行う必要があるし、推薦状の執筆を推薦者にお願いしないといけないため、どんなに短くても3ヶ月は準備期間を確保しよう

出願校を増やす

単純な方法だが効果的だ。欧米の大学院の場合、日本の大学院のようにペーパーテストと面接だけで合否が決まるのではなく、もっと多角的に評価される。すると、大学院や研究室との「マッチング」や「相性」というものも重要になってくる。受かりそうもない大学院に受かったり、確実に受かると思っていた大学院に落ちたりすることがある。

可能なかぎりたくさんの大学院に出願することを私はおすすめする。2〜3校にピンポイントに出願して合格を勝ち取る人もいるが、これは優秀な人にのみ許された方法である。普通は5〜10校に出願する。しんどい作業にはなるが、グッとこらえて10校くらい出願しよう。

ただ、各大学院に提出するPersonal Statementの内容が丸かぶりになるくらいなら、出願校の数を少し絞って、各大学院に最適化したPersonal Statementをそれぞれ作成した方が良い。出願校と学科の名前を変えただけの使い回しのPersonal Statementは、正直言って審査員の心に響かない(飛び抜けた実績があれば問題ないと思うが)。自分が出願する学科についてきちんと調査しよう。所属したい研究室の研究や興味のある講義、研究環境などを一通り調べて、それらについてPersonal Statementで言及しよう。

上位校だけでなく中堅校にも出願する

ハーバードやMITのような上位校のみに出願してないだろうか?飛び抜けて優秀じゃないと普通に落とされる。「ハーバード、MIT、スタンフォード、UCバークレーに出願したのですがダメでした...」みたいな人は結構いると思う。本人が飛び抜けて優秀だとか、どうしても上位校にしか行きたくなくて落ちたら国内の大学院に進学すると決めていたりするのなら別にいい。しかし、普通の人がこういうことをすると呆気なく全落ちするので注意しよう。

世界大学ランキングで50位以内の大学院や、US NEWSのランキングで20位以内の大学院はフツーに名門校なので、そう簡単には合格できない。一般的には、ランキングで上位に位置する大学院の方が、倍率が高く出願者のレベルも高い。

もう少し視野を広げて、中堅校にも出願しよう。日本人には認知されていないような大学院にも優秀な教授はいたりするので、大学名よりは研究室で選んだ方が良いと思う(特にPhDの場合)。

実際に出願する際は、チャレンジ校、実力相応校、滑り止め校を決め、それぞれ2〜3校ずつ出願しよう。例えば、アメリカの大学院に出願する場合は以下のような感じだ。

チャレンジ校:US NEWSの(大学院の分野別)ランキングで上位20位までの大学院

実力相応校:同ランキングで20〜30位の大学院

滑り止め校:同ランキングで30〜50位の大学院

もちろん、これはただの例なので参考程度に受け止めて欲しい(実際はここまで単純化できるものではない)。どのレベルの大学院が実力相応になるかは、その人の実力によって大きく変わってくる。

外部の給与奨学金を獲得する

出願前に給与奨学金を獲得していると選考の際に有利に働くことが多い。奨学金を持っている人材は優秀であるとみなされるからだ。また、指導教官や学科が学生のために給料を支払う必要がなくなるため、奨学金持ちの学生はありがたがられることが多い。低コストで優秀な人材を確保できるからだ。

学位留学用の奨学金を設けている財団は日本国内にもそこそこあるため、インターネットなどできちんと調査し、なるべくたくさんの奨学金に応募しよう。当然ですが、ローンではなく給与の奨学金なので、倍率はかなり高い(10倍とか普通)。ただ、Twitterでも申し上げたとおり(以下のツイート参照)、奨学金を持っていても全落ちしてしまう人はときどきいるみたいなので、最後まで油断しないようにしましょう。

奨学金を獲得できたら、PhDだけでなくMasterにも出願しておく

PhD programに出願する場合、運良く奨学金を獲得できたら滑り止めとしてMasterにも出願すると良いかもしれない。Masterの学生には給料が出ないこともあり、入試倍率が低かったり、出願者の平均的なレベルが(比較的)低かったりする。英米の大学院の学費は高いけれども、奨学金を持っているなら財団が出してくれるのだから、学費の問題は実質消滅する。

すでにMasterを取得した人にとっても、海外大学院のMasterに進学する意義はあるように思える。主な理由として、コースワークの充実度が挙げられる。日本の大学院のコースワークの質はお世辞にも高いとは言えないが、欧米の大学院のコースワークは質が高いことが多いからだ。特に、分野変更を考えている人にとってはMasterからやり直す選択肢も悪くはないだろう。

日本の大学院に合格しておく

日本に居場所を確保しておくと良いかもしれない。退路を絶って自分の尻を叩くのも良いが、やはり、逃げ道はあった方が良いだろう。

さいごに:大学院に落ちても人生が終わるわけではない

結果が届くまでの数ヶ月間は、辛い時期になるはずだ。いつ合否結果が来るのか分からないため、数ヶ月間は不安と緊張が継続することになる。これは結構つらい。

メールが届いてドキドキしながら開いた瞬間に

I regret to inform you that, after careful consideration of your application, you have not been selected for admission to our program. 

Thank you for considering our program at the X University and best wishes for success in your next carrer.

というお祈り文章が目に飛び込んできたときの悲しさよ。

受験に落ちることは恥ずかしいことではない。不合格通知は挑戦した者の元にしか届かない。1週間くらいは部屋にこもって落ち込んでもいい。泣いたって構わない。ただ、ちゃんと立ち直って、次のゴールを見据え、再び歩み始めよう。それが最も重要なことだ。

合格しても、環境が合わなかったり、興味が変化したりして、途中で辞めてしまう私のような人は一定数いる。大切なのは、自分が選んだ場所で、楽しみながら研鑽を重ねることだ。この記事を読んでくださったあなたの成功を、私は祈っている。

最後に宣伝になってしまって申し訳ないのですが、ココナラにて大学院留学に関する相談サービスをやっております。具体的な情報や、自身に最適化されたアドバイスを求めている方は、ぜひご相談ください。

coconala.com

また、私は留学生団体カガクシャ・ネットの座談会スタッフも務めさせていただいております。数ヶ月に1度留学相談会を開催しております。奮ってご参加ください。

落ちちゃった人へ

アニメでも観て、元気出してください。感動できるアニメと元気が出るアニメを1つずつ紹介します。どちらも名作です。

CLANNAD:泣いていいのは、トイレの中かパパの胸の中だけ

 

天元突破グレンラガン:主人公シモンがドン底から這い上がる熱血物語

BLEACHファンが教える、正しいBLEACHネタの遣い方

こんにちは、Naoki Oguri(@Wynne_D_)です。

みなさん、BLEACHネタはきちんと正しい形で遣いましょう。さもないと、僕みたいな老害の機嫌を損ねることがあります(いや、別に損ねないけど)。なお、引用は全て『BLEACH / 久保帯人』からです。

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迷言ネタが一人歩きするのを防ぎたい。僕は本気だ。

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「こと」ではなく、「事」

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月牙天衝 

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「使って」ではなく「遣って」
滲み出す混濁の紋章
不遜なる狂気の器
湧き上がり・否定し・痺れ・瞬き
眠りを妨げる
爬行する鉄の王女
絶えず自壊する泥の人形
結合せよ
反発せよ
地に満ち己の無力を知れ
破道の九十 

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「黒棺」

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こちらも、「使う」ではなく「遣う」

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 「刈り取る」ではなく「刈り奪る」

どうやら、久保帯人先生は漢字に拘りがあるようです。せっかくなので、元の形で遣ってあげましょう。

上の画像のとおり、BLEACHはサービスシーン(?)豊富な作品です。オサレです。素直に読んでも、斜に構えて読んでも、シュールなシーンを笑いながら読んでも楽しめます。1年前に完結してしまったのが少し寂しいです。

BLEACHを読んで、あなたもBLEACHネタをマスターしましょう。

...オグリの深夜テンションが......

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 ...消えた......?

松井秀喜が示した指導者として大切なもの:コミュニケーション能力とは何か

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今日、松井秀喜のインタビュー記事を読んだ(下のリンク参照)。松井氏は知らない人がいないほどの偉大な野球選手である。彼は現在、米ヤンキースのゼネラルマネージャー特別アドバイザーを務めている。

full-count.jp

この記事は、指導者として活躍する”今の”松井氏を映し出すインタビュー記事である。彼の野球に対する思いや、指導にかける思いが如実に伝わってくる良記事だ。大変感銘を受け、共感する箇所も多かった。この記事の中で、松井氏は指導者が備えるべき必須スキルを示してくれたように私には思えたので、本記事にそれをまとめたいと思う。

指摘するだけでは「指導」にはならない 

指導する立場となって感じるのは、悪い点を指摘するのは簡単だということ。(中略)変わる必要性を選手にどう気付かせ、納得させて改善するか。コーチが見て良くなったと評価できる形で、かつ選手自身の感覚でもいいと思えるものを導き出さなければいけない。指導するうえで一番難しい部分だ。 指摘することと、変わるように導いてやることは全く別で、両方やって初めて指導者と言える。

この言葉は、指導や教育に従事する全ての人にとって重要な点をうまく突いている。指導とは、相手の思考や感情をシミュレーションした上で、相手が自分自身で最適解を導き出せるようアシストすることだと思う。

上で引用した松井氏の言葉は、臨床心理学でいうところの「ラポール」に通じるものがある。カウンセリングにおいて、セラピストはクライアントと良好な関係を築くことで、クライアントにとっての最適解を彼ら自身の手で導き出せるよう手伝いをする。これがラポールであり、「信頼関係」や「以心伝心」などとよく似た概念である。

指導は思ったよりも難しい。私も研究室や勤務先で後輩を指導したことがある。相手のラポールを築けなかったがため、もしくは、相手の思考をフォローできなかったがために、不適切な指導をしてしまったことは思いつくだけでもたくさんある。教育を生業とする人でなくとも、誰かを指導しなければならないことはよくあるため、私と同じような経験をした人は多いはずだ。

「相手との良好な関係を築く」「相手の思考や感情を推し量る」などは指導者が満たすべき必須条件であるが、徹底できていない人がほとんどであるように思う。「なんでこんなこともわからないの?」などと口に出してしまう人は多い。このインタビュー記事は、日常を過ごしていくと忘れがちになってしまう大切な点を思い出させてくれる良記事である。

指導における言語化能力の重要性

自分が作り上げてきた打撃と他人が作り上げてきた過程やそこから得た感覚は共有するのは不可能に近いと思う。だからこそ、長嶋茂雄監督は松井秀喜に毎日ほぼ同じことを言っていた。

指導においては、自分の思考・感覚をうまく言語化しなければ相手は納得してくれない。思考や感覚をうまく伝えきれない場合、つまり、暗黙知を相手と共有したい場合は、何度も教えることで相手にその情報の重要性を伝えることでしか指導を行うことができない。

暗黙知...言語では説明しきれない知識のこと。自転車の乗り方やバットの振り方も暗黙知に含まれると言える。

上記の通り、打撃感覚を他人と共有することは不可能に近いと松井氏は述べている。長嶋監督は、指導の際に選手に「シュッとしてパーン!」などと言って教えていたことは有名である。これは長嶋監督の指導力が低いということには直結しない。バットの振り方やバッターボックスでの振る舞いは、形式知ではなく暗黙知であるため、言葉を使って相手に完璧に伝えることは不可能だということを意味する。

形式知...暗黙知と対照的な概念。つまり、言語や図表、数式によって記述できる類の知識のこと。

ただ、自分の中にのみ存在する知識や概念、認知活動をうまく言語化し、相手に伝える能力に優れた人間は一定数存在する。マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやスティーブ・ジョブズなどは、言語化能力に優れた人間ではないかと思う。彼らの講演を聴くとそれがよくわかる。脳内の知をうまく言語化できたからこそ、多くの人の心を動かす破壊的な革命を起こすことができたのではないだろうか。

松井氏も、少しタイプは異なるが(彼は寡黙なタイプ)、言語化能力に優れた指導者になりえると思う。その片鱗は、彼が引退後に初めて出版した書籍「エキストラ・イニングス 僕の野球論」の中に垣間見ることができる。精神論が未だに叫ばれ続けている野球界の中で、松井氏ほど自分の思考や感覚を言語化する能力に優れた人間はいないのではないだろうか。

私が思うに、巷でよく謳われる「コミュニケーション能力」は以下の2つの能力で構成される。

  1. 相手の思考や前提知識、感情を自分の脳内でシミュレーションする能力
  2. 自分の脳内の暗黙知を、可能なかぎり形式知に変換する表現力

2つとも、当記事で既に説明したものである。1はコミュニケーションの相手を知ること、つまりインプットに相当し、2は自分の考えを伝えること、つまりアウトプットに相当する。「言葉のキャッチボール」はこの2つのうちどちらかでも欠ければ、途端に成立しなくなってしまう。漠然なものと考えられがちなコミュニケーション能力であるが、少しだけ細分化して上記の2つの能力に分けると、明確な能力として捉えることができるため、意識して養成しやすくなるのではないかと思う。

少し話がそれてしまった気がするが、これほどまでに他人の思考を掻き立てることができる表現ができる松井氏のすごみに、感銘を受けるばかりである。心理学におけるラポールや、認知科学における暗黙知・形式知など、専門的な領域まで彼の思考は迫っているのではないかと思う。もちろん彼にお会いしたことはないのだが、彼のコミュニケーション能力は群を抜いているはずだ。

今回紹介したインタビュー記事は全3回であるらしい。松井氏の言葉も素晴らしいが、彼の言葉をまとめた記者/ライターも素晴らしい。残りの2回の発行が楽しみです。それでは今日はこれで。

Coursera: Neural Networks and Deep Learningのレビュー ディープラーニングに入門したい人に最適

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1ヶ月ほど前に、CourseraのDeep Learning Specializationの紹介記事を書いた。Deep Learning Specializationは5つのコースで構成されている。今回、1つ目のコースであるNeural Networks and Deep Learningを修了したので、レビューを書こうと思う。コースへのリンクはこの文章の下に貼っておく。なお、現在は3つ目のコースまで開講されている。10月初旬には4〜5つ目のコースも開講されるそうだ。

www.coursera.org

Deep Learning Specializationとは?

Deep Learning Specializationとは、Deep Learningに関する5つのコースがセットになったもの。機械学習業界で有名なNg教授が担当するコースであるため、大変期待を寄せている。月間$49を支払うことで5つのコースを受講することができ、全てのコースを修了すると特別な修了証明書をもらえる。もちろん1つのコースだけを受講することも可能。詳細は以前書いたこちらの記事で。

プログラミングや機械学習に詳しくない人でも大丈夫

初学者向けのコースなので、プログラミングや機械学習に特段明るくない人でも十分ついていける。Machine Learningのコースでもそうだったが、Ng教授の説明は簡潔明瞭なので、易しく感じるはずだ。

使用する言語はPython。基礎文法さえ分かっていれば、さほど困らないと思う。プログラミング初心者はオンライン講座や書籍で基本事項を習得してから受講しよう。おすすめはDataCampのIntro to Python for Data Scienceというコース。DataCampは全てのコースがData Scienceを志向して作られているため、Data Scienceの知識と結びつけながらPythonを学べる(=機械学習にスムーズに入門できる)。

機械学習の概要についてはNg教授が講義内で簡単に教えてくれるが、心配な人は薄い概論書を1冊読んで分野の全体像を掴んでおくと、講義の理解がさらに深まる。「人工知能は人間を超えるか」は読み物としても楽しく読めるので、最適な一冊に思える。

数学の知識に関しては、大学教養レベルの微分積分と線形代数を学んだことがある人であれば何も心配いらない。高校生でも理解できる程度の解説に留められているので、忘れている場合でも適宜復習すれば良いだろう。

コースの詳細

1週目:コースの概要の説明。ニューラルネットワークの簡単な解説。

2週目:ロジスティック回帰の説明およびPythonでの実装。

3週目:ニューラルネットワークの解説・実装

4週目:ディープニューラルネットワークの解説・実装

上記の通り、このコースは4週で修了できるよう設定されている。毎日1時間くらい勉強すれば予定通り4週間ほどで修了できる。特にタイムリミットがあるわけではないので、自分の好きなペースで受講できる。時間がある人なら1週間で修了できるはずだ。

1週目はオリエンテーションみたいな感じで、2週目から本格的に講義が始まる。2週目はロジスティック回帰の説明に充てられている。コスト関数や最急降下法など、機械学習でおなじみの用語もこの週で解説される。

理論的な説明が終わるとPythonでの実装を行う。このコースではTensorFlowなどのディープラーニング用のフレームワークは使用しない(コース2から使用する)。つまり、スクラッチからモデルを実装することになる。ただ、詳しい解説があるので深く迷うことはないはずだ。各章の終わりにクイズとプログラミング課題がある。70〜80点以上の点数を取れば合格になる(自動採点)。

3週目からニューラルネットワークの解説に入る。活性化関数についての簡単な解説もある(シグモイド、tanh、ReLU、Leaky ReLU)。2週目と同様、理論的な解説の後、Pythonでの実装を行う。

4週目は、本題であるディープニューラルネットワークの解説。フォワード/バックプロパゲーションの説明はかなり分かりやすく、素晴らしいものであった。パラメータやハイパーパラメータの簡単な解説もなされる。

全体的な印象として、「ゼロから作るDeep Learning」に似ている。「ゼロから作る」は、理論の説明は上手いものの、Pythonコードが解説なしに貼り付けられていて多少不親切であった。このコースはコーディングの説明もちゃんとあってさらに分かりやすい。月5,000円で受講できるので、英語が得意な人はこちらのコースを受講した方が良いと思う。

ちなみに、修了するとこんな証明書をもらえる。LinkedInやCVに書けるよ。無事コース1を修了できたので、このままの勢いでコース5まで修了したい。

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Deep Learning Specializationはディープラーニングをこれから始めようと思っている人におすすめできる数少ない教材のうちの一つです。興味が湧いた人は受けてみてください。

フィルターバブルの外側へ:ネット社会に生きる我々が今すべきこと

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フィルターバブルという閉鎖世界

「フィルターバブル」という言葉をご存知だろうか?フィルターバブルとは、インターネットを利用して収集する情報が、自分自身の「行動履歴」や「趣味趣向」というフィルターにかけられることで、自分にとって不都合な情報が入ってこなくなってしまうことである。

Googleはパーソナライズド検索という機能を実装している。これは、利用者の閲覧履歴などを元に、検索結果を利用者向けにカスタマイズする機能である。私が「旅行 おすすめ」と調べたときに表示される検索結果と、あなたが同じキーワードで調べた時の検索結果は違うものになる。Googleだけでなく、FacebookやAmazonも類似の機能を実装している。このように、私たちの元へ届く情報は一人一人に最適化されている。

これは現在ブーム真っ只中の「機械学習」という手法で実装されたものであり、非常に便利な機能だ。しかしながら、裏を返せば、自分にとって役に立たなそうな情報や不都合な情報は入ってこないことになる。インターネットによって世界が広がったと感じる人は多いと思うが、実際には我々は狭い世界に閉じ込められて生活していることになる。イーライ・パリサーはこの現象を「フィルターバブル」と名付け、フィルターバブルの引き起こす悪影響について提言した [ページ下部の書籍参照]。

フィルターバブルとTwitter

Twitter社もパーソナライズド機能を実装している。表示される広告やおすすめユーザー欄を見てみると、コンテンツが利用者に最適化されていることに気がつくはずだ。

さらに、Twitterにはブロックやミュートといった機能があり、これもフィルターバブルを形成することに一役買っているのではないかと思われる。 Facebookなどにも同様の機能はあるが、最もブロックやミュートの回数が多いのはTwitterではないかと思。

たくさんのRTやふぁぼを集めたことがある人はお分かりになると思うが、1つの呟きに数百程度のRTが集まると、意図不明かつ理不尽なリプライ・引用RTが飛んでくる。いちいち相手していると時間がもったいないため、カジュアルにブロック/ミュートしてしまうツイッタラーは多いはずだ。私もミュート程度なら気軽にしてしまう。

だが、フィルターバブル問題のことを考えると、簡単にブロック/ミュートしてしまってよいものなのだろうかという疑問が湧いてくる。ただでさえ情報がパーソナライズされているインターネットにおいて、付き合う相手まで取捨選択してしまうと、完全にフィルターバブルに閉じ込められてしまう。多種多様な人間に出会える場所がTwitterやインターネットという場所ではなかったのだろうか。

もちろん、フィルターバブルに対する反論が存在し、パーソナリゼーションは微小な影響しか与えないとする考えも存在する(Wikipedia参照)。現実世界においても、付き合いづらい人を避けることはよくある。結局、ネット世界が現実世界に取り込まれることで、現実世界が拡張しただけなのかもしれない。

しかしながら、パーソナライズされたインターネットは、知識を与えてくれることはあっても、新たな価値観を与えてくれることはほとんどない。自身の過去というフィルターを通して伝わった情報は、ほとんどの場合バイアスがかかったものになる。このような情報が我々の価値観をゆさぶる頻度は必然的に少なくなるはずだ。効率的な成長が見込めない、ということになる。行き着く先は、偏屈な人間、つまり老害である。

フィルターバブルから抜け出すために

では、フィルターバブルを抜け出すにはどうすれば良いだろうか。どうすれば自身にとって馴染みのない新鮮な情報を受け取ることができるだろうか。ポイントは「ノイズを受け入れ楽しむ」ことである。下記に具体的な対策を挙げてみる。

  1. プレイベートブラウジング機能を使う
  2. Googleだけに頼らず、書店/図書館に行ってみる
  3. 買い物はAmazonのみに頼らず、店に直接出向く
  4. SNSで他人からの理不尽な意見を受け入れる/受け流す
  5. 学校や職場以外に出会いを求める
  6. 旅行する

プライベートブラウンジング機能とは、履歴を残さずにブラウザを使用できる機能のことである。この機能をONにしていると、Google検索などでパーソナライゼーションの効果を受けない。

調べ物や買い物はネットだけに頼らず、ときどき街に繰り出そう。適度にノイズ(余計な情報)が入ってきて刺激を受けることができる。

SNSでブロックやミュートを多用するのは避けよう。過度なマナー違反をしてくる相手に限って、これらの機能を使用するのが良いだろう。SNSで投稿が拡散されると、自分のネットワークの外側の人間から意見が集まってくる。これをネガティブに捉えると「炎上」だが、ポジティブに捉えると、自分の価値観を見直したり、新たな価値観を形成したりする絶好の機会ということになる。Twitterでは以下の埋め込みツイートに書かれたような行動を心がけると良いだろう。ただし、本格的に炎上してしまうと精神に多大なダメージを与えるので、自分の精神状態を観察しながらSNSを利用しよう。

日常(ケ)から抜け出し、非日常(ハレ)を楽しもう。ソーシャルイベントに積極的に参加し、新たな人間関係を築こう。定番だが、人生において旅行は最高のスパイスである。海外旅行であれば尚良い。旅行先では、我々の常識では考えられないことが起こる。

上に記した6つの対処法は非常にありきたりなものであるが、意識してまで実行している人はあまりいないのではないかと思う。

世界との相互作用と自己実現

自分自身に最適化された情報の中で生きるのは快適かもしれない。しかしながら、その世界は閉じられており、外の世界/環境/人間と相互作用することはできない。これがフィルターバブル問題の本質であり、我々の自己実現を妨げる原因となる。

人間は世界・社会の中で生きることで自分自身が何者であるかを認識する存在である。世界を知ることが、自分自身を知ることに直結する。確固たる自己を築きたい者は、フィルターバブルの中で閉じこもってはいけない。どうすればより良い人生になるかについて、自分の頭を使って日々考え、「自分の過去」という檻から抜け出さなくてはならないと私は思う。

We used to look up at the sky and wonder at our place in the stars, Now we just look down and worry about our place in the dirt.

かつて人々は空を見上げて、この果てには何があるのだろうと思いを巡らしていた。だが今は地面を見つめて心配してばかりだ。

「インターステラー」より

下ばかり向いてるから五線譜の檻に閉じ込められちゃうんだ

「四月は君の嘘」より

 

フィルターバブル問題についてもっと知りたい方に、以下の書籍をおすすめします。

 

引用は以下の作品から

書籍紹介 #1

最近読んだ書籍を一言で紹介します。第1回目です。末長く続くシリーズになれば良いなと思ってます。今回はジャンルは様々。

古生物たちのふしぎな世界

本はどう読むか

なぜ日本企業は勝てなくなったのか

茶の本

留学生団体カガクシャ・ネットの座談会スタッフに就任しました

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先日、留学生団体カガクシャ・ネットの座談会スタッフに就任しました。

カガクシャ・ネットは学位留学志望者の支援をする団体です [link]。Twitterで代表の武田さんにお声掛けいただき、スタッフとして活動することになりました。Twitterやブログで情報発信していたことが良かったのかな?

座談会スタッフは、留学相談会や、アカデミックもしくはキャリアにかかわる話題の座談会の企画運営を行います。

さっそく昨日はオンライン留学相談会にスタッフとして参加しておりました。参加者の方がみなさま意欲的で、大変有意義な2時間となりました。みなさまの留学が無事実現すると良いな...!

年内にあと1-2回留学相談会開きますので、興味がある方はぜひご参加ください。開催予定はHPで随時通知されます。

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