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合成化学者は奴隷かアーティストか -AI時代を生き抜けるのか-

「合成化学者は頭を使わなくても手を動かしていれば結果が出せる」

「合成化学はブラックだ」

このような意見を聞くことがある。言わんとしていることは分かるし、実際、合成化学に従事する者の中にも「合成ソルジャー」や「合成奴隷」を自称してネタにする人がいる。

では、本当に合成化学者は頭を使っていないのであろうか?また、もし頭を使っていないのであれば、合成の仕事はAI(人工知能)やロボットに簡単に代替されるのだろうか?今日はその辺を考察してようと思う。

私は博士課程1年目までは合成化学をやっておりました。今は人工知能分野に身を置いています(まだ素人ですが)。一歩引いた立場から合成化学を眺めてみて色々思うことがあったので、ここに綴らせて頂きます。化学と認知科学の知識を用いて解説をしていきます。若輩者の意見ですので、もし何かございましたらご指摘・ご意見いただけると幸いです。

合成化学とは?

知らない方のために合成化学とはどんな学問なのかについて解説しておく。合成化学とは、簡単に言えば「新しい化合物を合成する学問、もしくは、新しい合成手法を開発する学問」のことである。ステレオタイプなイメージで表現すると、白衣を着て試薬をまぜまぜする仕事だ。

下図は、「キュバン」という化合物を合成する手順を示している(Wikipedia「有機合成化学」より引用)。このように、複数のステップを経て目的の化合物をつくる、もしくは、目的の化合物をつくるための合成手法を開発する、というのが合成化学の仕事である。

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なぜ批判されるのか?

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なぜ合成化学は「ブラック」だの「頭を使っていない」だのと批判されのであろうか?理由の一つは、合成化学が「物質をつくりだす」学問だから、というのが大きいように思う。机上で行う理論研究、いわゆる”ドライ”な研究とは違い、手を動かせば目に見える形で何かしらの物質ができる。だから「手を動かすだけで良い」という批判も生まれてくるのだろう。

もう一つの理由は、単純に実験に手間と時間がかかるからであろう。合成や精製、反応条件の検討をほぼ手作業で行っているため、1つのステップを終わらせるだけでも数日~数週間かかることがある。それが最終目的物(上の図だとキュバン)を得るまで続くのだから、相当の精神力・忍耐力が必要だ。確かにしんどいのだ、実際。

本当に手を動かすだけで結果が出るのか?

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では、本当に手を動かすだけで結果が出るのだろうか?先ほども言った通り、反応を行えば何かしらの物質はできる。だから「結果が得られる」という意味ではYES。

ただし、そのできあがった「何か」はなんの機能も持たないゴミクズかもしれないし、一見役に立ちそうに見えても学術的には意味のない化合物かもしれない。このことは合成化学者たちも十分理解しており、ただ新しいものを作っただけの仕事を高く評価することは決してない。「あの人は論文はたくさん出てるけど、研究自体はおもしろくないよね」という評価を受けることは往々にしてある。そのため、「手を動かすだけで”良い”結果が出るか」という問には、NOと答えざるを得ない。

そもそも、どの分野の研究でも最も重要なのは「問題解決それ自体」であり、この部分で思考力が必要になる。今この分野で何が問題になっているのか、未解決問題はなんなのか、何をつくり出せばこの分野はより良くなるのか、ということを考え、実行し、問題を解決する。これが研究の本質である。そのため、問題解決の手段が手作業であれ数学であれAIであれ、その部分は比較的どうでも良いのだ。問題を効果的に解決する手法を選択するのが科学者というものだ。合成化学の場合、問題解決のための最も効果的な手段が現時点では「手作業での実験」であるため、これを採用しているに過ぎない。

合成化学者はAIに代替されるのか?

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では、「人が手作業で行う」以上に効果的・効率的な方法は存在するのだろうか?合成化学者はこれからAIやロボットの存在によって滅ぼされてしまうのだろうか?これに対する私の答えは、「合成化学者は今後20~30年は戦える」だ。理由を以下に記そう。

単純な手作業が多いなら、すぐAIやロボットに代替されてしまいそうなものである。なぜ私がそう思わないかと言うと、合成化学の研究は人間の思考のブラックボックスな部分に支えられていると思うからだ(これは合成化学に特有というわけではなく、他の学問にも当てはまるはずだ)。

まず一つ目に、実験は潜在記憶をフルに生かした行為だからAIに代替されづらい、ということが挙げられる。潜在記憶とは「自転車の乗り方」など、うまく想起・言語化できない記憶のことである。潜在記憶に対して、想起意識を伴う記憶は顕在記憶と呼ばれ、「さくらんぼは赤色である」とか「昨日の夜はハンバーグを食べた」など、明確に言語化できる種類の記憶のことである。

合成実験には高度なテクニックが必要とされ、スポーツなどと同様、潜在記憶をフルに生かした行為だと言える。特に、不活性雰囲気下での実験には職人技ばりの細かい作業が求められ、少し操作を誤っただけで大失敗を招くこともある。もちろん、作業動作自体を言語として記述することは可能だが、操作を行う際の”感覚”について抽出することはできず、操作の再現が難しい。自転車に乗った際のバランスの取り方について記述できないのと同じだ。このように、言語だけで実験技術の全てを伝えることはできないため、合成化学者が満足に実験を行えるようになるまでには年単位の時間がかかってしまう。

潜在記憶によって実現される作業を機械によって代替するのはなかなか難しい。言語として記述するのが難しいため、プログラムすることが難しいからだ。もし実験操作をロボットで代替したとしても、そのロボットに人間のような「知能」が備えられていない限り、操作の判断については結局は人間がすることになる。もちろん、機械学習やデータマイニングのような手法を採用し、大量のデータからの知識獲得を狙うという手もある。ただ、化学実験における「どのような条件、操作でうまくいったのか」という類のデータの数は莫大なものになり、これらのデータを解析に適した形で集めることは現実的に不可能だと言わざるを得ない。化学反応の結果を左右する因子(独立変数)は数えきれないほど存在するし、この世に数千万〜数億は存在すると言われる化合物それぞれが異なる性質を有しているからだ。加えて、「どのような条件・操作で失敗したのか」というデータは一般的には公にならないので、そのようなネガティブデータの不足が人工知能モデルの能力を損なわせることにもつながるだろう。

二つ目の理由として、合成経路や合成手法の提案は人間のヒューリスティックに強く依存しているから、というのが挙げられる。ヒューリスティックとはいわゆる「経験則」のことだ。何らかの問題に取り組んだとき、「なんかよくわからないけど解けた」「感覚で解けた」という経験をしたことがあると思う。そのような言語化の難しい思考プロセスを使って素早く答えを出す手法のことを、「ヒューリスティック」と呼ぶ。

ある程度経験を積んだ合成化学者であれば、合成スキームを見ただけで、合成法と最適な反応条件を提案できるのではないだろうか。これは経験から得られるもので、その思考プロセスを言語化するのは非常に難しいと感じるはずだ。これがまさにヒューリスティックのなせる技である。少ないデータからでも、ある程度信頼できる解を直感的に素早く導ける。そのため、ササッと実験に移ることができる。そこで得られた実験結果を踏まえてフィードバックを行うことにより、さらにヒューリスティックの精度を上げることができる。

人間が優れているのは、実験の提案段階から結果を得る段階までのすべてを、独力かつスムーズに実行できる点にある。圧倒的なスピードでヒューリスティックを鍛えていけるのだ。現在のAIは限られたタスクについては人間より速く学習することができるが、そのためには大量のデータが必要である。また、合成化学者のように研究全体について包括して学習することは今のところ不可能だ。

以上が私が合成化学者はこれからも生き残っていけると考える理由だ。合成化学者を完全に代替するためには、ドラえもんのような汎用人工知能の登場を待たねばならないだろう。

合成化学者がAI時代を生き抜くために

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とは言っても、合成化学の各タスクは徐々にAIやロボットに代替されてゆくだろうと私は予想している。現在でも、反応予測や反応経路予測に対して人工知能を利用してアプローチする研究を見かけるし、反応・精製をオートメーション化する動きも見られる。

未来を予測することにはあまり意味がないと個人的には思っているのだが、合成化学者が今後生き残るためにはどうしたらいいのかについてはいくつか思い当たる点があるので、以下に記そう。

まず第一に、細かい合成技術を磨く、ということである。合成・精製がオートメーション化されたとしても、おそらくそれは画一化された性能しか持たないであろう。簡単な反応を行って簡単に精製をする程度の性能にしばらくは留まるはずだ。つまりそれは、個別の現象に対応することができない「頭の固いモデル」ということになる。実際、今の自動HPLCなんかでも、特殊な化合物を精製する際には全く役に立たなかったりする。そのため、しっかりとした合成技術を磨いておけば、簡単に機械に代替されることはないはずだ。痒いところに手が届く合成化学者は、今後10~20年は必要とされるはずだ。

第二に、人工知能分野の全体像について学んでおくことだ。今現在AIを使って何ができるのか、一体どのような手法なのか、ということを理解していれば、化学の専門家としてAIの使い所を見極めることができ、自分の研究にAIを生かすこともできるはずだ。自分でプログラムをつくれなくても、使い所さえ分かっていれば人工知能に詳しい人材に仕事を依頼することが可能だ。

全体像をざっくり掴むくらいなら正直そこまで大変ではない。数学、英語、プログラミングがそこそこできれば、数週間~数ヶ月も勉強すれば全体像を捉えることができる。機械学習やディープラーニングの理論の理解には、少なくとも大学教養レベルの数学力が必要なので、数学は勉強しておいた方が良いだろう。

英語が必要な理由は、分野の発展のスピードが化学とは比べ物にならないほど早いので、英語の文献を読まないとついていけないからだ(研究者なら英語は苦にしないだろうし)。

プログラミングについては言わずもがなだが、とりあえずPythonが書ければいいのではないだろうか(自分もまだ実力不足なので偉そうなことは言えない笑)。また、人工知能は量子化学計算との融合を見込めるので、量子化学も勉強しておくと良いだろう。

逆転の発想で生き残る

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私は合成化学者を応援している。合成化学者は、よく分からない批判に負けず、自分たちの信じる道を突き進んでいってほしい。合成化学者は身体を使って仕事をするのでバカにされがちだが、むしろそこに強みがあるように私には思えるのだ。

これからは様々な仕事が機械に代替されていく。プログラムによって再現しやすい作業や、関連データを簡単に収集できる作業からどんどん代替されていくので、手続きを明確に記述できる作業はすぐに一掃されるだろう。そのため、これからは言語化が難しい能力(上で取り上げたヒューリスティックや潜在記憶など)を鍛えていった方が良さそうだ。直感や第六感と呼ばれるようなものに近いのだろうか?

この能力を鍛えるためには経験が必要だ。それも、質の高い問題解決を何度も経験する必要がある。だから、常にChallengingなことに挑戦しよう。合成化学者であれば、物怖じせず、難しい化合物の合成に挑もう。失敗を恐れず、難しい実験に挑戦してみよう。そして、そこで得た経験を生かして、より難しいことに挑戦しよう。

このサイクルをなるべく早く回し、素早く成長していくことが大切だ。合成化学に限らず、すべての分野の人が取るべき戦略だと思う。人間は単純な数理能力ではもうコンピューターに勝てない。それなら、コンピューターが苦手な分野で勝負しよう。人工知能に対して必要以上に悲観的な感情を抱かず、ポジティブにがんばりましょう。

少し話は変わるが、自分たちが作り出したプロダクトをCoolだと誇るのがエンジニアというものらしい。無から有を作り出せる存在だからだ。彼らと同じように、合成化学者も無から有を作り出せる創造的な存在なのだから、合成奴隷・合成ソルジャーなどと自虐せず、自分たちが生み出した分子を誇るべきだ。

ビジュアル的にも美しいのが化学。その美しさをゼロから演出でき、実験技術という職人技を持つ合成化学者は、さながらアーティストのようではないか。あまり自分たちのことを卑下せず、自信を持って楽しく研究しましょう!

逆境の中をひたすら進む

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久しぶりの投稿になります。先輩から「みんな小栗くんが今何をしてるか気になってるよ」と声をかけていただいたので、そろそろ現状報告したいと思います。

色々なことがあったのですが、ようやく最近は心の整理がついてきて、自分の過去を振り返るのも怖くなくなったし、ある程度の客観性を保って自分について語れるようになったと感じます。出来る限りの現状報告をするので、どうぞ読んであげてください。かなりの長文です。しかもわりとポエムってるので、覚悟してどうぞ。

結論から言いますと、昨年の冬にミシガン大学を退学して、今は東京の人工知能系ベンチャーにて、ディープラーニングに関する仕事をしている。来年からまた留学に行こうと思っている。

どこから説明したらいいか分からないが、1年前から説明することにする。昨年5月にアメリカのミシガン大学に渡り、化学合成の研究に従事していた。最初は順調だったのだが、1ヶ月もするとそんな気持ちはどこかに行ってしまった。というのも、これはこんなところで言ってはいけないのかもしれないが、所属していた研究室の環境や手続きが、科学に対して真摯なものであるとは僕には思えなかったからだ。最初は日本とアメリカの文化の差に起因するものと思っていたのだが、どうやらそうではない気がした。

そのことで指導教官とソリが合わなくなり、言語の壁もあってうまく伝えることができなかったせいもあるのか、最終的には僕が悪いということになった。僕はそうは思わなかったのだけれど、もしかしたらそうだったのかもしれない。

モヤモヤした気分を抱えながら時間を過ごすうちに、次第に研究に対するモチベーションは失われていった。心が潤いを失っていくと同時に、化学への情熱も失っていった。自分はこの研究室に居ていいのだろうかと悩んだ。他の研究室に移ろうとも考えていたのだが、僕をアメリカに送り出してくれた人達のことを思うと、それが正しい判断なのか分からなかった。

客観的な評価が欲しかったので、なるべく多くの先輩・友人に相談することにした。もちろん相談に乗ってもらった方に全ての事情を話すことは出来ず、部分的な情報でのやりとりになってしまったのだが、大変厳しい言葉をいただいたり、反対に、励ましの言葉をいただいたりと、貴重な視点を得ることができたように思う。両親や恋人には心配をかけたくなかったため相談できず、彼らに相談したのは大学院を辞めるタイミングになってからだ。

どうするべきか迷っている間にどんどん塞ぎこんでしまって、次第に外に出ることが億劫になり、渡米から2ヶ月たった7月のとある朝、僕はベッドから起き上がれなくなってしまった。最終的に、その研究室を辞めることを決意したのだが、当時の指導教官から送られてきた最後のメールは、悪い意味で一生忘れそうもない。

研究室を辞めたあと、日本人の教授の研究室に所属させてもらうことになった。先生には心理的な面も含めてサポートいただき、心が救われた思いだった。

精神的には少し楽になったのだが、この分野に対する情熱が戻ることはなかった。その代わり、昔から自分が好きだった分野だったり、自分の心についてだったりと、様々なことを考えるようになった。書籍や論文を読んだりしているうちに、いくつかやりたいことが出てきた。今回の経験で自分の心が不安定になったこともあり、人間の心や知能というものに最終的には強く惹かれるようになった。

次第に考えが固まり、神経科学や心理学の研究をしたいと思うようになった。これらの学問は、人間の脳や心について解明することを狙いとする学問だ。ミシガン大で修士号を取得した後で専攻を変えようと思っていたのだが、嫌な思い出の詰まったキャンパスで生活するのは辛かったし、何より、情熱を失った分野の勉強・研究を続ける気にはなれなかった。

最終的に、先生には悪いと思いながらも、昨年の11月、ミシガン大学を自主退学して、日本に戻ってきた。いきなり神経科学/心理学分野の博士課程に出願するのは無茶だと思ったので、イギリスの大学院の修士課程を目指すことを決意し、出願。Imperial College LondonKings College LondonUniversity of BristolUniversity of Sheffieldなどから合格を頂いた。だがしかし、まだまだ苦難の道は続く。

以前から支援していただいていた財団からの奨学金を継続できるのかどうか、その時点で不透明だったのだ。結局、それがはっきりしたのは3月あたりで、「退学してしまったので支援を継続出来ませんよ」ということになった。これに関しては自分が悪いし、財団に迷惑をかけてしまったので申し訳ないと思っている。数年後に成長した姿を見せられればいいのだが。

さて、奨学金が継続できないことに決まり、その時点で奨学金を申請してもVISA取得に間に合いそうになかったため、入学を1年遅らせることにした。色々と段取りが悪かったのは認めざるを得ない。さらに、同じようなタイミングで当時付き合っていた恋人に振られ、さらに僕の心はダメージを受けることになった。正直辛かった。

うん、もうなにがなにか分からないのだが、ここまで来るとちょっと笑えてきました。Twitterで「さーて、俺も中退して箔をつけたし、そろそろ起業でもすっかなー」と軽口を飛ばしながらも、その裏では僕の心は静かに軋んでいた。

いつまでも落ち込んでいても仕方ないと思い、応募できる奨学金を探したりとか、何とか来年まで食いつなぐための仕事を探したり、放送大学に入って心理学や認知科学を学んだりしていた。

プログラミングくらい出来なきゃと思ってPythonを始めた。そして、その先を追っていくと、今流行りの機械学習やディープラーニングに出会った。この人工知能という分野、人間の知能を再現しようという試みから生まれたもので、僕がやりたいと思っている神経科学や心理学なんかと関連が深いです。

独学でこれらの分野の勉強を続け、そして先月、東京のITベンチャーがインターンとして受け入れてくれて、ディープラーニングに関わる仕事を始めることになった。

また、人工知能について学んでいくうち、人工知能と神経科学の交差点に存在すると言ってもよい計算論的神経科学(Computational Neuroscience)という分野に興味を持った。今年またイギリスとドイツの計算論的神経科学の修士課程に出願しようと思っている。もしかしたら受からないかもしれないが、受かったらおそらくそっちに行く。それなりの数学知識が必要なため、今は放送大学で数学をバリバリ勉強している。新たな奨学金をゲットできるかも不安だな。もしダメでも教育ローンを組んで留学に行こうと思ってはいるのだが。

今の僕が目指したいのは、人間の心の原理を解明することであり、その過程で得たものを社会に活かすことだ。やりたい事としては、あのAlphaGoで有名なDeepMind社が目指しているものに近い。彼らは神経科学にinspireされた人工知能モデルを構築しようとしている。僕が将来やりたこともこれに近く、つまり、神経科学分野で得た知見を人工知能のモデル構築に役立てられたらいいなと思っているのだ。神経科学と人工知能分野はもっともっと歩み寄るべきだと思っている。そうでなければ今以上の人工知能の登場は見込めないのではないだろうか。もちろん、私の現在の知識では太刀打ちできないので、キャッチアップできるようもっと学ばなければなりません。というか相当努力しないといけない。

さて、かなり長くなったので、そろそろ話を畳みにかかりましょう。はっきり言って、僕の初めての学位留学は完全に失敗に終わってしまいました。でも何も得られなかったわけではありません。

この1年での僕の最大の変化は、「人の気持ちがわかるようになった」ということではないかと思います。以前は僕もかなり尖っていて、他人を傷づけることも多かったのではないかと思います。しかし今回、自分が大失敗を経験してみて、苦しんでいる人の気持ちが分かるようになったし、人は環境次第で大きく変わる生き物なのだと理解できました。これは人間として大きな成長ではないかと自分では思っています。

もちろん、留学前から変わっていないこともありまして、それは、私の夢や価値観です。僕は「人の心を動かせる人間」になりたいと思っています。研究で素晴らしい発見をしたと自分では思っていても、その研究を評価するのは自分ではなく他人です。毎年ノーベル賞が騒がれていますが、科学の発見に対する賞だといっても、その重要性を決めるのは人間であり、人間社会であります。人の心を動かしてこそ、自分の作り上げたものが人々の波に乗り、うねりとなり、最終的に社会に役立つものに変わっていくのだと信じています。なので、みんなに「おっ!」と思ってもらえたり、「おもしろい!」と言ってもらえるような事を成し遂げたいと思っています。そして、人間の心について研究していくと同時に、自分の人格も育んでいきたいと思っています。

最後に、苦しんでいるときに相談に乗って頂いた方、本当にありがとうございました。

おかげさまで今は人生を楽しめています。とある先輩の一言に僕は心を救われたのですが、その言葉はまだ自分の胸の中にしまっておこうと思います。

最後に宣伝ですが、最近流行りのVALUを始めました。僕を応援してくれる人、僕の将来性に期待してくれる人がもしいたら、小栗株を買ってあげてください。VALUで得た資金は来年からの留学費用に回そうと思っています。

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【書評】一流の記憶法 / 六波羅穣:効率良く勉強したい受験生・大学生・社会人におすすめ

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「勉強したはずなのに覚えてない」

 

「歳のせいか物忘れが激しい」

 

そんな方におすすめなのが、この「一流の記憶法」

 

記憶に関する9つの原則と、12の記憶術をコンパクトにまとめた一冊です。

受験生・大学生・社会人におすすめ

著者である六波羅さんは、知識を豊富に持つことの重要性について以下のように述べています。

 

発想の大家ジェームズ・W・ヤングも言っています。

 

「アイデアは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」

 

要するに、持っている知識が多いほど新しいアイデアを思いつきやすい

 

つまり発想力が高まる、というわけです。 

 

知識を増やすことでセンスが磨かれるということですね。

 

では、どのような記憶術を用いれば大量の知識をインプットできるのでしょうか?

 

その答えが本書には載っているのです。

 

この本を手に取ってほしいのは、大量の知識を覚えなければならない受験生や大学生、社会人です。

 

それでは、本書の内容を少しだけ紹介しましょう。

本書の目次

はじめに

第1章:記憶のメカニズム

第2章:記憶の原則

第3章:記憶術

おわりに

ほとんどの人は正しい記憶法を知らない

本書を読んでいる方の少なくない方は、昨日の朝ごはんを思い出せないでしょう。

 

何度も会っていて、名前も何度か聞いているはずの人の名前も思い出せないことがあるでしょう。

 

今朝読んだばかりの新聞の見出しも1つとして思い出せないでしょう。

 

要するに私たちは、大容量の記憶を十分に活かせてはいないわけです。

 

これは実のところ、当然のことであるとも言えます。なぜなら、特定の処理をした情報しか、短期記憶から長期記憶に移行しないからです。

 

私たちが日々触れている大半の情報──昨日の朝ごはんや何度も会っているあの人の名前──には特定の処理がなされておらず、よって、長期記憶にもなっていないのです。

 

情報を長期記憶として保持させる正しい方法を知らないために、覚えたはずの情報を思い出せない状態にある人が多いのです。

 

「覚えたはずなのに思い出せない」「物忘れが激しい」という悩みを抱えている方たちのことです。

 

「情報をいつでも思い出して使うことができる」

 

それが出来なければ、せっかくの努力が水の泡になってしまいます。

 

いくら必死に勉強をしても、記憶方法が間違っていれば「使える」記憶にはなりません。

 

私たちはなぜ、物事を記憶するのでしょうか。

 

私たちはなぜ、歴史の年号を記憶し、眼鏡を置いた場所を記憶し、料理のレシピを記憶するのでしょうか。

 

それは、必要なときに思い出すためです。つまり、「思い出す」という行為こそが記憶の目的であるわけです。

 

それなのに、物事を記憶するとなると、想起のことは考えずに、情報を入力することばかりに気を使う人が多い

 

これは、間違った態度であるというほかはないでしょう。

 

六波羅さんは、ほとんどの人が情報を入力することのみに気を取られていると指摘します。

 

情報を入力することのみに注力して、脳に定着させる努力を行っていない。

 

これは明らかに間違った記憶法です。

 

六波羅は正しい記憶法(想起法)について次のように述べています。

 

では、どうすれば良いかといえば、短期記憶の中からいくらかその情報が忘れられてから、想起練習をするのです。

 

つまり、1秒の間隔もあけずに、ひたすら繰り返してはいけません。具体的な数字をあげれば、5秒程度は、記憶対象の情報に注意を向けない状態にして、それから思い出すようにします。

 

5秒後に思い出せたら、次はより長い間隔をあけてから思い出します。それでも思い出せたら、さらに間隔をあける。

 

このように、次第に想起の間隔をあけていく方法を延長リハーサルまたは間隔伸長法といいます。

 

この練習を繰り返すたびに、より長い時間、情報を覚えていられるようになります。

 

想起練習の効果を高める方法として、世界中の学習現場で活用されている方法です。

 

このように、1章、2章では、科学的なアプローチを用いて記憶のメカニズムを解説し、適切な記憶法を紹介しています。

頭文字法・物語法・場所法をマスターせよ

第3章では、12個もの記憶術が紹介されています。

 

それぞれに詳しい解説もついています。

 

本書の良いところは、記憶術を実際に使用してその効果を体験できるよう、構成が工夫されている点です。

 

読み進めていくだけで12個の記憶術をマスターできます。

 

本書で学べる記憶術は以下のとおり。

 

  1. 関係法 
  2. 語呂合わせ法 
  3. 頭文字法 
  4. 一連法 
  5. 音楽活用法 
  6. 物語法 
  7. 連想結合法 
  8. 変換記憶術 
  9. 数字形システム・数韻システム 
  10. 数字イメージ変換システム 
  11. ペグ法 
  12. 身体部位法 
  13. イメージ式ペグ法 
  14. 場所法

 

12個もマスターする必要があるのかというと、必ずしもそうではありません。

 

頭文字法・物語法・場所法、この3つの記憶法さえマスターしておけば、普段の生活で困ることはないそうです。

 

カンの鋭い方であれば、字面だけ見ればどのような記憶法なのか予想できるかもしれません。

 

ただ、使い方にコツがありますので、本書を手に取って詳細を確かめてみてください。

 

「読みたい」と思った方は、以下のリンクからどうぞ。

Amazonの「欲しいものリスト」を公開したら、誕生日プレゼントを頂けました

みなさん、こんにちは。

 

ウィンD(@Wynne_D_)です。

 

先日の記事でお伝えした通り、3月27日は私の誕生日でした。

www.wynned.com

 

当該記事にAmazonの「欲しいものリスト」を貼り付けたところ、なんとプレゼントを贈ってくださった方がいました!

 

どうせ誰も送ってくれないだろうと思っていたので嬉しさ倍増。

 

こちらが頂いたプレゼントです。

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「アリストテレスが好きです」というメッセージ付き!

 

論理学にアリストテレスが関係しているので、このようなメッセージを添えてくださったのでしょう。

 

アリストテレスは三段論法の定式化するなど、伝統論理学に大きく貢献した人物です。

 

もっと詳しく解説したいところですが、私は論理学にはそれほど詳しくないので、これからこの本で勉強させていただきます。

 

読み終わったら書評記事を公開します。

 

ちなみに、この「論理学」をはじめとした「1冊でわかる」シリーズは、"Very Short Introduction"という洋書の邦訳版です。

 

非常に良質な入門書であり、さまざまな分野のタイトルが存在します。英語の勉強にも最適。

 

以下の記事で紹介しておりますので、興味が湧いた方はぜひご覧になってください。

www.wynned.com

プレゼントを贈ってくださった方、本当にどうもありがとうございました!

 

現在わたしは貯金を食いつぶして生活しているので、このようなプレゼントを頂けると大変助かります。

 

これからもみなさまに有益な情報を発信できるよう、ブログを精一杯運営していく所存です。

 

「私も贈ってあげるよ!」という方は、ページ内に「欲しいものリスト」を貼っているので、そちらからどうぞ。

 

それでは今回はこれで。

どっちを選ぶ?アメリカ大学院とイギリス大学院の違い

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海外で学位を取りたい!と決意したものの、どこの国に留学したらいいのか迷っている方は多いですよね。

 

今回は、アメリカとイギリス双方の大学院に合格した私が、アメリカ大学院とイギリス大学院の違いをまとめます

 

修士課程を受験する方が多いと思うので、ここでは主に修士課程に焦点を当てます。

 

アメリカは2年間、イギリスは1年間

一般的に、アメリカの修士課程は2年間イギリスの修士課程は1年間です。

 

アメリカには修士論文を書かなくても卒業できるプログラムが存在します。

 

イギリスでは修士論文を書かなければ卒業できません。

 

イギリス大学院の場合、審査員が修士論文をチェックし、「修士号に値する成果ではない」と判断された場合、修士号ではなくディプロマというものが与えられることになり、修士号を取得することができません。

 

そのため、1年間必死に勉強しなければなりません

 

また、イギリス大学院にはTaught courseReserch couseの2種類が存在します。前者は講義中心のプログラム、後者は研究のみを行うプログラムです。

 

アメリカ大学院にも、卒業後に就職を目指す人のためのProfessional Masterと、卒業後に博士課程に進学する人のためのResearch Master、この2種類のプログラムが存在します。

 

Professional Masterに入学する場合、講義のみを受けて卒業するパターンが多いと思います。Research Masterの場合、講義と研究を平行して行うことになるでしょう。

 

アメリカの場合、高い研究能力があればRA (Research Assistant、研究補助)を行って給料を稼ぐことができるので、金銭的に余裕がない人には美味しいプログラムかもしれません。

アメリカは単位制、イギリスは進級制

アメリカ大学院は単位制イギリス大学院は進級制となっています。

 

アメリカ大学院の場合、必要単位を取得すれば卒業が認められるため、1年~1年半で卒業する人も多いです。アメリカは自由の国、というわけですね。

 

前述のとおり、イギリスは進級制を採用しているため、必ず1年間勉強・研究しなければなりません。

 

履修する講義も固定されていることが多く、アメリカの大学院ほどの自由度はありません。

 

また、1年という短い期間にスケジュールを詰め込んでいるので、長期休暇がないのも辛いところです。

必要な試験が異なる

入学審査で求められる試験が異なります。

 

アメリカ大学院に進学する人はGREやGMATという試験を必ず受験しなければなりません。

 

それに対し、イギリスの大学院では特別な試験は課せられません

 

英語能力試験においては、アメリカではTOEFLが求めれられ、イギリスではIELTSを求められます

 

しかし、最近ではアメリカでもTOEFLではなくIELTSのスコアを求める学科が出てきているようです。

 

求められるスコアはTOEFLの場合は80~100点IELTSの場合は6.0~7.5です。

 

必要な試験・点数は大学院によって異なりますので、受験校を早めに選定し、TOEFLかIELTSどちらの試験を受けるのかを決める必要があります。

 

ちなみに、イギリス大学院はIELTSのスコアを持っていなくても出願することが可能です。英語力以外の能力を見て合否を判断してくれます。

 

つまり、それで落ちてしまった場合、英語力が低いことを言い訳に出来ないわけで、それはそれで辛い...。

 

出願までに大学院が要求するスコアに届かなかった場合、取れる選択肢は2つあります。

 

  1. 入学までに要求スコアを取得する
  2. Pre-sessionalと呼ばれる語学コースを数ヶ月間受講する

 

1は説明不要ですね。Pre-sessionalは数十万円の受講費と生活費がかかってしまいますので、金銭の余裕がない方は是が非でもIELTSの要求スコアをクリアしたいですね。

 

いずれかをクリアしますと、Conditonal offer(条件付き合格)からUnconditional offer(無条件合格)に変わり、やっと正式な入学許可が下ります。

イギリスの大学院は早い時期に出願すると有利

イギリスの大学院はローリング審査という入試形式をとっています。

 

ローリング審査とは、合格基準に達した応募者には即合格を出しますよ、というもの。すなわち、早い者勝ちシステムです。

 

出願は9~10月頃から受付が始まりますので、上位校を狙う人はこの時期に出願する必要があります。

 

アメリカ大学院は締切後に審査を開始することが多いようです。

おわりに

アメリカ大学院とイギリス大学院のおおまかな違いを紹介してきました。

 

あくまでも一般論ですので、出願の際には、自分が出願する大学院についてしっかり調べる必要があります。

 

アメリカやイギリスの大学院だけに絞るのではなく、オーストラリアやヨーロッパの大学院も調査して、自分に合った大学院を見つけましょう。

 

それでは今回はこれで。

 

アメリカの大学院に興味がある方はこちら 

www.wynned.com

 

イギリスの大学院に興味がある方はこちら(受験記です)

www.wynned.com

 

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【書評】諦める力 / 為末大:周囲の雑音に苦しめられている全ての人へ

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為末大さんが書いた『諦める力』がKindle Unlimitedの対象本となっていたので、今更ながら読んでみました。

 

元スポーツ選手が書いた本ということであまり期待していなかったのですが、さすがは「走る哲学者」の異名を持つ為末さん、素晴らしい出来栄えの書籍になっています。

 

 

「自分」を見失っている人にオススメ

本書を要約するのは簡単。なぜなら、為末さん自身が本書の末尾にまとめてくれているから。

 

何かを真剣に諦めることによって、「他人の評価」や「自分の願望」で曇った世界が晴れて、「なるほどこれが自分なのか」と見えなかったものが見えてくる。

 

続けること、やめないことも尊いことではあるが、それ自体が目的になってしまうと、自分というかぎりある存在の可能性を狭める結果にもなる。

 

前向きに、諦める──そんな心の持ちようもあるのだということが、この本を通して伝わったとしたら本望だ。

 

どうですか?この部分を読んだだけでも、本を手に取って読んでみたくなりませんか?

 

この本を読んで欲しいのは、今やっている仕事や勉強が辛い人周囲の声に耳を傾けすぎて自分を見失っている人です。

 

それでは、もっと詳しく紹介していきましょう!

 

為末大ってどんな人?

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為末 大 さん

(http://www.jaaf.or.jp/fan/player/men003.htmlから引用)

 

広島県出身の元陸上競技選手。

 

400mハードルの日本記録保持者であり、世界選手権で2度の銅メダルに輝いています。

 

現在はコメンテーターや指導者として活躍中。

 

また、Twitterで毎日のように至言・名言を呟き、人気を博しています。

本書の目次

第1章:諦めたくないから諦めた

第2章:やめることについて考えてみよう

第3章:現役を引退した僕が見たオリンピック

第4章:他人が決めたランキングに惑わされない

第5章:人は万能ではなく、世の中は平等ではない

第6章:自分にとっての幸福とは何か

 

為末流の「諦める」

為末さんは「諦める」という行為を以下のように捉えています。

 

「自分の才能や能力、置かれた状況などを明らかにしてよく理解し、今、この瞬間にある自分の姿を悟る」

 

世間でよく言われるような「諦める=逃げる」というようなネガティブなイメージを持っているのではなく、諦めるという行為を前向きに捉えていますね。

 

そんな為末さんも、高校時代までは諦めることについてネガティブなイメージを持っていたそうです。

 

しかし、ある経験が為末さんを変えることになります。

100mで味わった挫折と400mハードルへの転向

その経験とは、100mという世界で最も競争の激しい競技で味わった挫折でした。

 

中学時代、為末さんは100m・200mで日本一に輝いています。

 

順風満帆に思えた陸上人生。しかし、高校に入ると100mのタイムが思ったほど伸びなかったのです。

 

中学3年生の時点で11秒2だった選手が、高校3年生になると、僕の記録をおびやかすくらいまで駆け上ってきていた。その時点では、僕のベストタイムを超えていなかったが、僕とライバル選手のタイムの変化をグラフ化すると、そう遠くない時期に僕を超えていくのは明らかだった。

 

さらに世界ジュニアという大会で世界のトップクラスのアスリートを目の当たりにした。

 

日本一の高校生たちがまったく相手にされずに予選落ちしていくのを見て衝撃を受けた。ジュニアといえど、世界レベルになると9秒台に近いタイムで選手たちは走る。

 

この衝撃は大きかった。僕は、このとき初めて「努力しても100メートルでトップに立つのは無理かもしれない」という感覚を味わった。

 

高校時代の彼のベストタイムは10秒6、インターハイの決勝に残れるか残れないかのラインです。

 

100mでオリンピックに出場することはまず無理と言っていいでしょう。

 

私も高校のときに陸上競技をやっており、短距離種目でインターハイ・国体に出場しました。

 

そのため、為末さんがおっしゃる「努力しても勝てない」という感覚をよく理解できます。

 

私は為末さんとは違い、全国では通用しない弱小スプリンターでした。

 

全国大会のレースで自分よりはるか前を走る選手を見て、「あ、俺は陸上向いてないんだな」と悟ってしまい、陸上競技をやめてしまいました。

 

陸上という競技は非常に残酷で、タイムの違いが距離にそのまま表れてしまいます。例えば、100mの場合、たった0.1秒の差でも距離で見れば1mほどの差がついてしまうのです。

 

実際に競技場で走る時には1mであっても遠くに感じてしまう…。

 

そのため、「努力してもあいつにはかなわない」という絶望感を感じやすいスポーツです。

 

「100mでは世界と戦えない」と悟った為末さんは、先生から勧められていた400mハードルに目を付けることにしました。

 

世界のトップが集う国際大会のレースだというのに、走ってきた選手がハードルの手前に来るとチョコチョコと歩幅を合わせるような動きをしている。

 

そういう無駄な動きをしている選手が、金メダルを取っているのだ。そのときに抱いた率直な感想はこうだ。

 

「100メートルでメダルを取るよりも、400メートルハードルのほうがずっと楽に取れるのではないか」 

 

当時はまだ400mハードルの競技人口は少なく、技術やトレーニング方法も洗練されていない時代でした。

 

彼は「ここでなら世界と戦えるかもしれない」と感じ、400mハードルの世界に没頭していくのです。

 

もちろん、100mに対する未練がなかったわけではありません。決断を下した当時はネガティブな感情が絶えなかったそうです

 

100メートルという陸上の花形種目からマイナー種目である400メートルハードルに移った時点で、僕は一時期、強い葛藤に見舞われた。

 

「割り切った」 「諦めた」 「逃げた」

 

こうしたネガティブな感覚を持ち続けた。それを人に言いたくなくて、心のなかに隠しておくことが大きなストレスになった。

 

”手段”を諦めても、”目的”を諦めなければ良い

ネガティブな感情を抱えながらも、400mハードルで結果を残していくうちに、彼はある答えに辿り着きます。

 

「勝つことを諦めたくない」

 

そう、僕は「AがやりたいからBを諦めるという選択」をしたに過ぎない。

 

為末さんの目的は「100mで世界一になること」ではなく、「勝ちたい。世界一になりたい」というものだったのです。

 

つまり、彼にとって100mは世界一になるための”手段”であって、それ自体が”目的”ではないということ。

 

それに気づいた彼は、最終的に次のような考えを持つようになりました。

 

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。

 

これはアスリートではない我々の場合でも同様です。

 

例えば、医者を目指している人でもモチベーションは人それぞれ。

 

「誰かを救いたい」から医者を目指している人もいるし、「お金持ちになりたい」から目指しているという人もいます。

 

もし医者を目指すことが現実的ではない状況に陥った時、前者は「人を救える他の仕事(例:看護師、救急隊員)」を目指せばいいですし、後者は「お金がたくさんもらえる仕事(例:総合商社、コンサルタントなど)」を目指せばいいのです。

 

いつまでも”手段”にすがりついていては、一生苦しみ続ける人生になってしまいます。

 

要は「自分が何に対して幸福を感じるのか」について考えて”目的”を設定し、自分が得意な”手段”を使って”目的”を達成する、ということでしょう。

 

もし現在の”手段”が自分に合っていないものなら、別の”手段”を使えばいいわけです。それは逃げではありません。

 

そう考えると、小学校の先生が子どもたちに「将来なりたい職業は?」なんて聞くのはナンセンスかもしれませんね。

 

だって、「どう生きたいのか?」ではなく「何を目指すのか?(どんな手段を取るのか?」を子供に考えさせているわけですから。

 

最高の戦略は、努力を娯楽化すること

では、どのような手段が自分に向いているのでしょうか?

 

為末さんは「努力を楽しいと思える手段」こそ自分に向いていると述べます。

 

最高の戦略は努力が娯楽化することである。

 

そこには苦しみやつらさという感覚はなく、純粋な楽しさがある。苦しくなければ成長できないなんてことはない。

 

人生は楽しんでいい、そして楽しみながら成長すること自体が成功への近道なのだ。

 

楽しんで継続できること、周りから見れば努力に見えるが自分にとっては遊びでしかないもの、そういう手段を選択するということです。

 

そこには他人の意見が介在する余地はありません。周りの声に振り回されるのではなく、自分自身の内なる声に耳を傾けることになります。

 

諦めてよかったかどうかは、人生の終盤になって決まる

元々の”手段”を諦めてよかったかどうかは人生の終盤になってから決まる、と為末さんは言います。

 

結局のところ、何かをやめてよかったか悪かったかという判断は、人生の終盤になって決まるものだと思っている。

 

やめた結果、別の分野で成功すると、やめてよかったという話になる。うまくいかなければ、やめないほうがよかったという話になる。

 

簡単に言うと、「結果論」ですね。

 

「自分が下した選択を正しいものにするために、選んだ道で楽しむ」ということでしょう。

 

自分が行った選択に対して周囲がアレコレ言ってくることはよくあります。それでも、あなたの選んだ道が正しかったかどうかは、あなたが墓に入る直前まで分かりません

 

こう思うことで、確かに前向きに生きていけるような気がします。

 

さて、本記事で取り上げたのは『諦める力』のほんの一部でしかありません。

 

ページをめくる度に感嘆してしまう文章がこの本には詰まっています。

 

もしこの記事を見て「読んでみたい」と思った方は、以下のリンクからお買い求めください。

一人暮らしをする上でいらないものと、その代用品として買うべきアイテム

 

これから新生活を始める人、

 

「この家電、買わない方がよかったな...」

 

と数年後に後悔したくないよね?

 

私は引っ越し時に何度も味わったので、みなさんには同じ思いをして欲しくない。

 

というわけで今回は、一人暮らしをする人が買わなくていいものを紹介する。また、それらのものを代用できる手頃なアイテムも一緒に紹介しよう。

 

 

ベッド

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ワンルームや1Kの部屋に住んでいる人は買わない方がいい。

 

起床時に使えるスペースが狭くなってしまうからだ。ただでさえ狭い部屋に住んでいるのに、さらに狭くしてどうする!

 

買わない方がいいもう一つの理由は、引っ越し時の処分に困るからだ。大きい家具家電の処分は回収業者に依頼することになり、数万円もの料金がかかってしまう。

 

大学生なんて4年くらいしか同じ部屋に住まないのだから、フットワークは軽ければ軽い方がいい。いつでも引っ越せるような状態でいよう。

 

私も最初はベッドを買った。友達もみんな買ってた。でも、買って後悔する人は多いんだよね...。

 

代用品:布団

買うならベッドより布団。

 

布団であれば使わない時はたたんで部屋の隅に置いておけるので、あなたの居住スペースを圧迫することはない。

テレビ

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実家でテレビを見ていなかった人は、無理にテレビを買う必要はない

 

テレビを買うべきなのは、テレビ番組やゲームが好きな人、映画鑑賞が好きな人だ。また、家で友達と飲んで騒ぎたい人や、恋人と自宅デートしたい人も購入した方が良いだろう。

 

代用品:パソコン

テレビを見ない人、友達も恋人もいない人(ごめん)はパソコンで代用しよう。

 

今はAmazonプライムビデオやNetflix、Huluなどの定額制動画配信サービスがあるため、パソコンがあれば十分だ

 

個人的には、人気タイトルが豊富で価格も手頃なAmazonプライムビデオが最もオススメ。Amazonプライムビデオを利用したい方は以下のリンクからどうぞ。

 

アニメを見たい人にはdアニメストアやバンダイチャンネルを勧めたい。

 

地方に住んでいる人は地上波でアニメを見るより、こうした動画配信サービスで配信されているアニメを視聴した方がより早く最新の作品を視聴できることができる。

 

ちなみに、私はSurface Proというパソコンを使っている。タブレットにもなるので非常に使いやすい。

タンス

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必要なし。

 

特に、ファッションに疎いそこのあなた!

 

ベッドと同様、スペースを圧迫するし、引っ越し時に大変困る。かなりの重量があるので、部屋のレイアウトを変更したり掃除をする際にもつらい。

 

代用品:衣装ケース

衣装ケースで代用しよう。

 

軽くて安いし、処分時のコストもタンスより低い。

 

私は段ボールで代用していた時期もあった。意外と便利です、段ボール。

本棚

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本を週に1冊も読まないあなた、絶対に買ってはいけない。

 

ベッドやタンスと同様の理由。

 

代用品:衣装ケース または Kindle

本棚も衣装ケースで代用。段ボールでも代用が可能。

 

紙の書籍に対するこだわりがない人は、Kindleを利用すると良いだろう。

 

Kindle paperwhiteは紙の本に勝るとも劣らない読書体験を提供してくれる。本に居住スペースを圧迫されたくない人は絶対に購入しよう。

ソファ

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スペースの無駄!しかもめっちゃ重い!

 

お金持ちじゃない人は買っちゃダメ。安いソファの座り心地は最悪だぞ。

 

3万円以下のソファとかただの置物。座っても心地良くない。

 

代用品:リクライニングチェア

安物のソファを買うくらいなら、同じ金額を出してリクライニングチェアを買おう。

 

家でのデスクワークがめちゃくちゃ捗る。

掃除機

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意外と盲点なのが掃除機。

 

掃除機って意外と使わない。一人暮らしの場合はホコリやゴミがあまり出ないのだ。

 

むしろ、一番ホコリを被るのが掃除機だ。

 

代用品:コロコロ または レンタル掃除機

コロコロで代用すれば十分。

 

1週間に数回コロコロするだけで十分綺麗になる。コロコロしたあとにクイックルワイパーをかければ完璧!

どうしても掃除機を使いたい人は、レンタル掃除機という選択肢もある。

 

DMMで掃除機を借りることができる。

 

一人暮らしの場合は、普段はコロコロ大掃除にはレンタル掃除機というように使い分けると良いかもしれない。

 

DMMでは生活家電全般のレンタルを行っている。放射能測定器のレンタルまであるのだから驚きだ。

 

家電レンタルはお手頃な価格設定なので、数年間住むだけなら購入するより借りた方が安いかもしれない。気になる方は下のリンクからどうぞー。

家電レンタル

プリンター

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 プリンターも必要ない。

 

毎日なにかしら印刷する人は必要だろうが、たまにしか印刷しない人はコンビニや大学にあるプリンターを利用した方が良い。

 

大学生時代の私はプリンターを持っていたが、レポートを印刷する以外に用途がなかったのであまり使わなかったし、スペースを圧迫されるだけだった。

 

代用品:コンビニまたは大学のプリンター

コンビニのプリンターなら白黒1枚10円ほどで印刷できるので有効活用しよう。

 

もしあなたが大学生なら、大学の図書館やゼミ、研究室に手頃な価格もしくは無料で利用できるプリンターがあるので、そちらを利用するのも手だ。

 

コーヒーメーカー

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「毎日コーヒーを飲みたいから」程度の動機付けで購入しても、置物になる可能性が高い。

 

コーヒーメーカーは、手間暇をかけてでも「香りが高くておいしいコーヒー」を毎日飲みたい人が購入するものだからだ。

 

私も買ったけど、見事に部屋を飾るしか能がないインテリアになった。

 

代用品:ドリップパック

そこそこのコーヒーを毎日飲みたいだけの人は、ドリップパックを買ってみよう。

 

お湯を注ぐだけでおいしいコーヒーの出来上がりだ。しかも安い。

 

オススメはBlendyのドリップパックまろやかなコクがあり、後味も良い。そして何よりコスパが良い。

家具家電を買う際に意識するべきこと

 一人暮らしの人が家具家電を購入する際に意識するべきは

 

  1. 「居住スペースを圧迫するもの」を買わない
  2. 「引っ越し時の処分が面倒なもの」を買わない
  3. 他のもので代用できないか考える

の3つである。

 

この3つのことを意識するだけで、後で使わなくなるアイテムを購入することがなくなる。

 

ぜひお試しあれ。