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フィルターバブルの外側へ:ネット社会に生きる我々が今すべきこと

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フィルターバブルという閉鎖世界

「フィルターバブル」という言葉をご存知だろうか?フィルターバブルとは、インターネットを利用して収集する情報が、自分自身の「行動履歴」や「趣味趣向」というフィルターにかけられることで、自分にとって不都合な情報が入ってこなくなってしまうことである。

Googleはパーソナライズド検索という機能を実装している。これは、利用者の閲覧履歴などを元に、検索結果を利用者向けにカスタマイズする機能である。私が「旅行 おすすめ」と調べたときに表示される検索結果と、あなたが同じキーワードで調べた時の検索結果は違うものになる。Googleだけでなく、FacebookやAmazonも類似の機能を実装している。このように、私たちの元へ届く情報は一人一人に最適化されている。

これは現在ブーム真っ只中の「機械学習」という手法で実装されたものであり、非常に便利な機能だ。しかしながら、裏を返せば、自分にとって役に立たなそうな情報や不都合な情報は入ってこないことになる。インターネットによって世界が広がったと感じる人は多いと思うが、実際には我々は狭い世界に閉じ込められて生活していることになる。イーライ・パリサーはこの現象を「フィルターバブル」と名付け、フィルターバブルの引き起こす悪影響について提言した [ページ下部の書籍参照]。

フィルターバブルとTwitter

Twitter社もパーソナライズド機能を実装している。表示される広告やおすすめユーザー欄を見てみると、コンテンツが利用者に最適化されていることに気がつくはずだ。

さらに、Twitterにはブロックやミュートといった機能があり、これもフィルターバブルを形成することに一役買っているのではないかと思われる。 Facebookなどにも同様の機能はあるが、最もブロックやミュートの回数が多いのはTwitterではないかと思。

たくさんのRTやふぁぼを集めたことがある人はお分かりになると思うが、1つの呟きに数百程度のRTが集まると、意図不明かつ理不尽なリプライ・引用RTが飛んでくる。いちいち相手していると時間がもったいないため、カジュアルにブロック/ミュートしてしまうツイッタラーは多いはずだ。私もミュート程度なら気軽にしてしまう。

だが、フィルターバブル問題のことを考えると、簡単にブロック/ミュートしてしまってよいものなのだろうかという疑問が湧いてくる。ただでさえ情報がパーソナライズされているインターネットにおいて、付き合う相手まで取捨選択してしまうと、完全にフィルターバブルに閉じ込められてしまう。多種多様な人間に出会える場所がTwitterやインターネットという場所ではなかったのだろうか。

もちろん、フィルターバブルに対する反論が存在し、パーソナリゼーションは微小な影響しか与えないとする考えも存在する(Wikipedia参照)。現実世界においても、付き合いづらい人を避けることはよくある。結局、ネット世界が現実世界に取り込まれることで、現実世界が拡張しただけなのかもしれない。

しかしながら、パーソナライズされたインターネットは、知識を与えてくれることはあっても、新たな価値観を与えてくれることはほとんどない。自身の過去というフィルターを通して伝わった情報は、ほとんどの場合バイアスがかかったものになる。このような情報が我々の価値観をゆさぶる頻度は必然的に少なくなるはずだ。効率的な成長が見込めない、ということになる。行き着く先は、偏屈な人間、つまり老害である。

フィルターバブルから抜け出すために

では、フィルターバブルを抜け出すにはどうすれば良いだろうか。どうすれば自身にとって馴染みのない新鮮な情報を受け取ることができるだろうか。ポイントは「ノイズを受け入れ楽しむ」ことである。下記に具体的な対策を挙げてみる。

  1. プレイベートブラウジング機能を使う
  2. Googleだけに頼らず、書店/図書館に行ってみる
  3. 買い物はAmazonのみに頼らず、店に直接出向く
  4. SNSで他人からの理不尽な意見を受け入れる/受け流す
  5. 学校や職場以外に出会いを求める
  6. 旅行する

プライベートブラウンジング機能とは、履歴を残さずにブラウザを使用できる機能のことである。この機能をONにしていると、Google検索などでパーソナライゼーションの効果を受けない。

調べ物や買い物はネットだけに頼らず、ときどき街に繰り出そう。適度にノイズ(余計な情報)が入ってきて刺激を受けることができる。

SNSでブロックやミュートを多用するのは避けよう。過度なマナー違反をしてくる相手に限って、これらの機能を使用するのが良いだろう。SNSで投稿が拡散されると、自分のネットワークの外側の人間から意見が集まってくる。これをネガティブに捉えると「炎上」だが、ポジティブに捉えると、自分の価値観を見直したり、新たな価値観を形成したりする絶好の機会ということになる。Twitterでは以下の埋め込みツイートに書かれたような行動を心がけると良いだろう。ただし、本格的に炎上してしまうと精神に多大なダメージを与えるので、自分の精神状態を観察しながらSNSを利用しよう。

日常(ケ)から抜け出し、非日常(ハレ)を楽しもう。ソーシャルイベントに積極的に参加し、新たな人間関係を築こう。定番だが、人生において旅行は最高のスパイスである。海外旅行であれば尚良い。旅行先では、我々の常識では考えられないことが起こる。

上に記した6つの対処法は非常にありきたりなものであるが、意識してまで実行している人はあまりいないのではないかと思う。

世界との相互作用と自己実現

自分自身に最適化された情報の中で生きるのは快適かもしれない。しかしながら、その世界は閉じられており、外の世界/環境/人間と相互作用することはできない。これがフィルターバブル問題の本質であり、我々の自己実現を妨げる原因となる。

人間は世界・社会の中で生きることで自分自身が何者であるかを認識する存在である。世界を知ることが、自分自身を知ることに直結する。確固たる自己を築きたい者は、フィルターバブルの中で閉じこもってはいけない。どうすればより良い人生になるかについて、自分の頭を使って日々考え、「自分の過去」という檻から抜け出さなくてはならないと私は思う。

We used to look up at the sky and wonder at our place in the stars, Now we just look down and worry about our place in the dirt.

かつて人々は空を見上げて、この果てには何があるのだろうと思いを巡らしていた。だが今は地面を見つめて心配してばかりだ。

「インターステラー」より

下ばかり向いてるから五線譜の檻に閉じ込められちゃうんだ

「四月は君の嘘」より

 

フィルターバブル問題についてもっと知りたい方に、以下の書籍をおすすめします。

 

引用は以下の作品から