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外国語副作用:外国語で会話するとバカになる

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外国語副作用(foreign language side effect)とは、習得中の外国語を用いるときに知的レベルが低下する現象のことである。簡単に言うとマスターしていない外国語を話している最中はバカになるということだ。

言語を用いる際には言語処理思考を同時に行っている。相手の発言を聞きながら内容を理解するために思考しているし、適切な発言をするために思考しながら発言している。

母語を用いる際は言語処理(聞く・話す)がほぼ自動化されているため、会話中の思考に集中することができる。母語は幼少期から長い期間をかけて習得してきたため、言語処理に関しては最小限のメモリを使うだけで行える。

それに対し、習得中の外国語を用いる場合は、適切な言語処理を行うため脳をフル回転させなければならない。そのため、会話中の思考に割くことのできるメモリが少なくなってしまい、知能が低下してしまうのだ。

発見時のエピソード

外国語副作用は心理学者である高野陽太郎らによって発見された。

高野氏は日本の大学院を修了したのち、米国コーネル大学の大学院に入学。彼がコーネル大学のゼミに出席して愕然としたのは、現地の大学院生たちとほとんど議論できないことだった。

日本の大学院では日常的に議論を繰り広げていたため、高野氏は最初「自分の英語力が足りないから議論についていけない」と考えたという。

しかし、そのような経験を繰り返したのち、彼はあることに気づく。「相手の言っていることが理解できない」とか「自分の言いたいことを表現できない」ということとは別に、「相手の発言に対する意見が全く思い浮かんでこない」ことに気づいた。

これをキッカケに高野氏は「慣れない外国語を使っている際は本当に頭が悪くなる」という仮説を立て、綿密な実験を実施、仮説を実証したのである。

私も外国語副作用の影響を受けた

私自身も高野氏と似たようなことを経験している。

私は応答までに時間をかけることのできるコミュニケーション(例:メール)をする際は、日本語を用いる際とほぼ変わらない思考力を発揮できる。

しかし、会話となると素早い返答が求められるので、思考が追い付かず小学生レベルの言葉足らず or 考え足らずの返答をしてしまうことが日常茶飯事だ。

当初私は「自分には思考の瞬発力がないんだ」と思っていたのだが、誰にでも起こりうる心理現象だと知り、(なぜか)安堵している。所詮は外国人、英語の試験で良い点数は取れても、英語を無意識に扱うレベルにはまだ到達できていない。

勘違いしないで欲しいのだが、外国語副作用は「外国語を話せば話すほど頭が悪くなる」という現象ではない

母語を話す際には元通りの知的レベルに戻るし、外国語をマスターすればその言語を使用する際の外国語副作用は消失するそうなので、安心して外国語を勉強して欲しい。

英語での講義について

最近、英語で講義をする大学が増えているらしい。でも大学1年生の段階で外国語副作用が生じないレベルで英語を習得できている大学生なんて、ほとんどゼロだろう。教授に関しても、ずっと国内で研究してきた人はお世辞にも英語が上手とは言えない。

つまり英語で講義をする場合は、教員と学生が知能を下げた状態でコミュニケーションしているということだ。小学生が大学の講義を受けているみたいでなんか笑えますね...。

現実的には、留学生を獲得しなければ世界大学ランキングでの順位を下げてしまうため、講義を英語化するのは致し方ないことだ。

もし今後も英語化の流れが続くようなら、大学入学時の英語力を向上させるため、中等教育での英語教育を根本的に見直したり、大学に英語教育センター的なものを導入しなければならないだろう。

もっと知りたい方は

高野氏ご本人が書いた解説記事がある。実験方法まで言及するなど専門的な記事になっているが、大変分かりやすい。

また、高野氏の著「認知心理学」でも最終章で言及されている。認知心理学の基礎についてまとめられた質の高い教科書となっているので、興味がある方はぜひどうぞ。