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大学生活・研究室生活・留学に関することを中心に発信しています。

逆境の中をひたすら進む

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久しぶりの投稿になります。先輩から「みんな小栗くんが今何をしてるか気になってるよ」と声をかけていただいたので、そろそろ現状報告したいと思います。

色々なことがあったのですが、ようやく最近は心の整理がついてきて、自分の過去を振り返るのも怖くなくなったし、ある程度の客観性を保って自分について語れるようになったと感じます。出来る限りの現状報告をするので、どうぞ読んであげてください。かなりの長文です。しかもわりとポエムってるので、覚悟してどうぞ。

結論から言いますと、昨年の冬にミシガン大学を退学して、今は東京の人工知能系ベンチャーにて、ディープラーニングに関する仕事をしている。来年からまた留学に行こうと思っている。

どこから説明したらいいか分からないが、1年前から説明することにする。昨年5月にアメリカのミシガン大学に渡り、化学合成の研究に従事していた。最初は順調だったのだが、1ヶ月もするとそんな気持ちはどこかに行ってしまった。というのも、これはこんなところで言ってはいけないのかもしれないが、所属していた研究室の環境や手続きが、科学に対して真摯なものであるとは僕には思えなかったからだ。最初は日本とアメリカの文化の差に起因するものと思っていたのだが、どうやらそうではない気がした。

そのことで指導教官とソリが合わなくなり、言語の壁もあってうまく伝えることができなかったせいもあるのか、最終的には僕が悪いということになった。僕はそうは思わなかったのだけれど、もしかしたらそうだったのかもしれない。

モヤモヤした気分を抱えながら時間を過ごすうちに、次第に研究に対するモチベーションは失われていった。心が潤いを失っていくと同時に、化学への情熱も失っていった。自分はこの研究室に居ていいのだろうかと悩んだ。他の研究室に移ろうとも考えていたのだが、僕をアメリカに送り出してくれた人達のことを思うと、それが正しい判断なのか分からなかった。

客観的な評価が欲しかったので、なるべく多くの先輩・友人に相談することにした。もちろん相談に乗ってもらった方に全ての事情を話すことは出来ず、部分的な情報でのやりとりになってしまったのだが、大変厳しい言葉をいただいたり、反対に、励ましの言葉をいただいたりと、貴重な視点を得ることができたように思う。両親や恋人には心配をかけたくなかったため相談できず、彼らに相談したのは大学院を辞めるタイミングになってからだ。

どうするべきか迷っている間にどんどん塞ぎこんでしまって、次第に外に出ることが億劫になり、渡米から2ヶ月たった7月のとある朝、僕はベッドから起き上がれなくなってしまった。最終的に、その研究室を辞めることを決意したのだが、当時の指導教官から送られてきた最後のメールは、悪い意味で一生忘れそうもない。

研究室を辞めたあと、日本人の教授の研究室に所属させてもらうことになった。先生には心理的な面も含めてサポートいただき、心が救われた思いだった。

精神的には少し楽になったのだが、この分野に対する情熱が戻ることはなかった。その代わり、昔から自分が好きだった分野だったり、自分の心についてだったりと、様々なことを考えるようになった。書籍や論文を読んだりしているうちに、いくつかやりたいことが出てきた。今回の経験で自分の心が不安定になったこともあり、人間の心や知能というものに最終的には強く惹かれるようになった。

次第に考えが固まり、神経科学や心理学の研究をしたいと思うようになった。これらの学問は、人間の脳や心について解明することを狙いとする学問だ。ミシガン大で修士号を取得した後で専攻を変えようと思っていたのだが、嫌な思い出の詰まったキャンパスで生活するのは辛かったし、何より、情熱を失った分野の勉強・研究を続ける気にはなれなかった。

最終的に、先生には悪いと思いながらも、昨年の11月、ミシガン大学を自主退学して、日本に戻ってきた。いきなり神経科学/心理学分野の博士課程に出願するのは無茶だと思ったので、イギリスの大学院の修士課程を目指すことを決意し、出願。Imperial College LondonKings College LondonUniversity of BristolUniversity of Sheffieldなどから合格を頂いた。だがしかし、まだまだ苦難の道は続く。

以前から支援していただいていた財団からの奨学金を継続できるのかどうか、その時点で不透明だったのだ。結局、それがはっきりしたのは3月あたりで、「退学してしまったので支援を継続出来ませんよ」ということになった。これに関しては自分が悪いし、財団に迷惑をかけてしまったので申し訳ないと思っている。数年後に成長した姿を見せられればいいのだが。

さて、奨学金が継続できないことに決まり、その時点で奨学金を申請してもVISA取得に間に合いそうになかったため、入学を1年遅らせることにした。色々と段取りが悪かったのは認めざるを得ない。さらに、同じようなタイミングで当時付き合っていた恋人に振られ、さらに僕の心はダメージを受けることになった。正直辛かった。

うん、もうなにがなにか分からないのだが、ここまで来るとちょっと笑えてきました。Twitterで「さーて、俺も中退して箔をつけたし、そろそろ起業でもすっかなー」と軽口を飛ばしながらも、その裏では僕の心は静かに軋んでいた。

いつまでも落ち込んでいても仕方ないと思い、応募できる奨学金を探したりとか、何とか来年まで食いつなぐための仕事を探したり、放送大学に入って心理学や認知科学を学んだりしていた。

プログラミングくらい出来なきゃと思ってPythonを始めた。そして、その先を追っていくと、今流行りの機械学習やディープラーニングに出会った。この人工知能という分野、人間の知能を再現しようという試みから生まれたもので、僕がやりたいと思っている神経科学や心理学なんかと関連が深いです。

独学でこれらの分野の勉強を続け、そして先月、東京のITベンチャーがインターンとして受け入れてくれて、ディープラーニングに関わる仕事を始めることになった。

また、人工知能について学んでいくうち、人工知能と神経科学の交差点に存在すると言ってもよい計算論的神経科学(Computational Neuroscience)という分野に興味を持った。今年またイギリスとドイツの計算論的神経科学の修士課程に出願しようと思っている。もしかしたら受からないかもしれないが、受かったらおそらくそっちに行く。それなりの数学知識が必要なため、今は放送大学で数学をバリバリ勉強している。新たな奨学金をゲットできるかも不安だな。もしダメでも教育ローンを組んで留学に行こうと思ってはいるのだが。

今の僕が目指したいのは、人間の心の原理を解明することであり、その過程で得たものを社会に活かすことだ。やりたい事としては、あのAlphaGoで有名なDeepMind社が目指しているものに近い。彼らは神経科学にinspireされた人工知能モデルを構築しようとしている。僕が将来やりたこともこれに近く、つまり、神経科学分野で得た知見を人工知能のモデル構築に役立てられたらいいなと思っているのだ。神経科学と人工知能分野はもっともっと歩み寄るべきだと思っている。そうでなければ今以上の人工知能の登場は見込めないのではないだろうか。もちろん、私の現在の知識では太刀打ちできないので、キャッチアップできるようもっと学ばなければなりません。というか相当努力しないといけない。

さて、かなり長くなったので、そろそろ話を畳みにかかりましょう。はっきり言って、僕の初めての学位留学は完全に失敗に終わってしまいました。でも何も得られなかったわけではありません。

この1年での僕の最大の変化は、「人の気持ちがわかるようになった」ということではないかと思います。以前は僕もかなり尖っていて、他人を傷づけることも多かったのではないかと思います。しかし今回、自分が大失敗を経験してみて、苦しんでいる人の気持ちが分かるようになったし、人は環境次第で大きく変わる生き物なのだと理解できました。これは人間として大きな成長ではないかと自分では思っています。

もちろん、留学前から変わっていないこともありまして、それは、私の夢や価値観です。僕は「人の心を動かせる人間」になりたいと思っています。研究で素晴らしい発見をしたと自分では思っていても、その研究を評価するのは自分ではなく他人です。毎年ノーベル賞が騒がれていますが、科学の発見に対する賞だといっても、その重要性を決めるのは人間であり、人間社会であります。人の心を動かしてこそ、自分の作り上げたものが人々の波に乗り、うねりとなり、最終的に社会に役立つものに変わっていくのだと信じています。なので、みんなに「おっ!」と思ってもらえたり、「おもしろい!」と言ってもらえるような事を成し遂げたいと思っています。そして、人間の心について研究していくと同時に、自分の人格も育んでいきたいと思っています。

最後に、苦しんでいるときに相談に乗って頂いた方、本当にありがとうございました。

おかげさまで今は人生を楽しめています。とある先輩の一言に僕は心を救われたのですが、その言葉はまだ自分の胸の中にしまっておこうと思います。

最後に宣伝ですが、最近流行りのVALUを始めました。僕を応援してくれる人、僕の将来性に期待してくれる人がもしいたら、小栗株を買ってあげてください。VALUで得た資金は来年からの留学費用に回そうと思っています。

valu.is