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失敗しない「研究室の選び方」

2017年9月21日 加筆修正

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「どの研究室を選ぶか?」

研究室配属が近づいた大学3年生の多くが抱える悩みですよね。「研究室選び」は「大学選び」と同じくらい大切です。あなたの今後の人生を大きく左右します。 

今回は、私の経験を元に、失敗しない研究室の選び方について書きます。

 

注:筆者は化学・生物・材料科学といった分野の事情にしか詳しくないので、他の分野では当てはまらないことがあるかもしれません。

 

ちなみに、私は今まで4つの研究室に所属したことがあります。見学したことのある研究室の数は国内・国外を含めて30を超えます。これは学生としては比較的珍しいケースだと思うので、より多くの視点を読者のみなさまに提供できるでしょう。

それでは、研究室を選ぶ際にチェックすべきポイントを以下に記していきます。

1.自分と向き合う

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あなたは将来何をしたいですか?あなたのキャリアプランは?価値観は?ライフスタイルは?まずは、そういった問いを自分に投げかけてみてください。

研究室選びは就活と同じでマッチングが大切です。就活する際、就活生が自己分析を行うのをご存知ですよね?それに近いレベルで自己分析を行い、自分のキャリアプランや価値観を見出してください。

ゆったりと研究生活を送りたい学生もいれば、研究を通じて自分の価値をガンガン高めたい学生もいるはずです。

研究室には短くて1年、博士課程まで進学するなら5年間は在籍します。自分のライフスタイルと合わない環境に5年間も居続ける苦しさを想像できますか?おそらくほとんどの方は想像できないと思います。ですから、まず最初に、なるべく悲観的に想像してみてください。

簡単に言ってしまうと、自分のキャリアを実現できたり、自分の価値観やライフスタイルとの親和性が高い研究室を選べばいいのです。

2.教授と自分の相性

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最も重要なポイントです。

前述の通り、指導教授とは長い長〜い付き合いになるからです。ウマが合わない人を指導教授に選んでしまうと、お互い後悔することになります。

中学や高校時代に部活動をした経験のある方は多いと思いますが、顧問の先生との関係が最悪だったらどうですか?すぐに辞めたくなりますよね。指導教授選びはそれに近いです。

結婚相手を決めるとき並の覚悟で指導教官を選びましょう。 

では、どのようにして自分との相性を確かめるのか?まずは、研究室訪問をして一対一で話してみましょう。 

しかしながら、それだけではほぼ分かりません。どんな性格が悪い教授でも配属前の学生には良い顔をします。なぜなら、教授にとって学生とは、悪く言えば研究のための「労働力」であり、それを欲しがらない人間などこの世にはほぼいないからです。この段階の教授の話を真に受けすぎてはいけません。

次に、研究室のメンバーに教授の人格や研究スタイルについて聞きましょう話を聞く相手をランダムに選ぶのではなく、学部生、修士過程の学生、博士課程の学生、ポスドクなど、できる限り立場の異なる人を選んで、それぞれと話しましょう。 

学部生と大学院生、ポスドクでは教授から求められる仕事が少なからず違ってきます。そのため、学部生にしか分からない苦悩や、大学院生にしか分からない苦悩、ポスドクにしか分からない苦悩があったりするのです。

「学部生の時は優しい先生だと思っていたのに、大学院に入った途端に要求されるレベルが跳ね上がって、精神的に辛くなってしまった」というケースも散見されます。

その研究室のメンバーは未来のあなたを映す鏡と言えるでしょう。学部生と話をするなら1年後のあなたの姿、博士学生と話すなら4年後のあなたの姿が目の前にあるのです。より深い話を聞きたいなら、一対一で話してみるのが良いでしょう。

今ならFacebookやTwitterなどもあるので、そういったSNSを使ってコンタクトを取るのも有効です。実際に私も相談されたことがありますけど、かなりぶっちゃけたお話を提供しちゃいますね...。

隣の研究室や、全く違う分野の研究室の学生に評判を聞いてみるのもオススメ。なぜなら、研究室内のメンバーはネガティヴな情報を教えてくれないことがあるからです。他の研究室の学生からの評判はだいたい当たってるので、信用してもいいですよ。「火のない所に煙は立たぬ」という諺もあることですし。

次に、教授の人格に加えて、その人の研究哲学にも注目してみてください。あなたはこれから研究室に配属され、指導教授の弟子になります。私は、師弟制度の本質は師匠の哲学を自分のなかに取り込むことにあると考えています。

守破離」は日本における師弟関係のあり方の一つです。学生時代は「守」の段階に当たりますね。意識するかどうかに関わらず、指導教授の哲学や研究スタイルは少なからず自分に継承されます。

その教授は、自分の思い描く理想の研究者でしょうか?そうでないのなら、その研究室に所属した場合、未来のあなたもその教授のようになっている可能性があります。その逆もしかりです。

3.コアタイム

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教授や所属学生に、研究室のコアタイム(必ず研究をしなければならない時間帯)を訪ねてみましょう。

1日のコアタイムが8時間を超える研究室は、かなりハードワークを要求される研究室だと思います。 

日本の大学生は学費を支払って学んでいる「お客様」です。お金をもらっている社会人でさえ(建前上は)8時間の労働が上限なのに、学生がそれ以上拘束されるのはしんどいですよね。このような研究室に所属する場合は、心や身体を壊さないよう細心の注意を払って研究生活を送る必要があります。

私が見てきたドイツやフランスの大学の研究室では、平日はみんな夕方6時には帰り、土日はそもそも大学が空いていない、という環境でした。それでも日本の研究室と同等以上の研究成果を出してきます。

研究に従事する時間が長いほど良い研究成果が得られるとは限りません。

最終的には、自分のライフスタイルと相談して研究室を決めることになります。

4.研究資金と研究環境

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ぶっちゃけ、お金があるとハイレベルな研究ができます。「研究室を主宰するPI(Principle Investigator)の持っている研究資金が多い」=「研究環境が良い」と言っても良いでしょう。

同じ学科内でも、お金をジャブジャブ使っている研究室もあれば、少ないお金をなんとかやりくりして研究している研究室も....。

欧米の大学においては、研究資金の大部分は学生やポスドクなどの「人」を雇うために使われます。それに対して、日本の大学の場合は、備品や消耗品などの「研究資材」にあてられます。

つまり、研究室の設備をチェックすればその研究室にお金があるかどうか大体分かるわけです。ただ、専門的な知識がないと研究室を見ただけで判断するのは難しいので、その場合は、他の研究室と設備見比べてみたり、所属メンバーに聞いてみたりするのが良いです。教授に直接聞くのは少し失礼ですので、所属メンバーに聞いてみるのがいいでしょう(できれば博士学生かポスドク)。

科研費のHPを訪れて、教授の名前で検索をかけてみるのも良い手段です。空白期間なく科研費を獲得できているでしょうか? 

研費以外の財源を持つ教授も多いですが、科研費を毎回キッチリと取ってきているかどうかは良い指標になります。

また、その研究室にポスドクが何人いるか確認してみてください。研究において主に戦力になるのは、博士課程以上の人材です。つまり、手っ取り早く研究結果を出したいなら、ポスドクを雇えばいいわけです。ポスドクを雇っていない研究室は資金的に苦しい状態なのかもしれません。

ただ、地方大学レベルの研究室ではポスドクが少ないのが普通だったりしますが...それでもある程度の目安にはなります。

5.研究業績

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言うまでもありませんが、研究業績が出せているかどうかも重要なポイントです。

研究者としての短期的なミッションは「論文を出版する」ことです。研究結果を公表するための最もメジャーな手段は論文であり、さらに、研究資金を取ってこれるかどうかも研究業績に大きく左右されます。いわば飯のタネ。

もう少し学生目線で見てみましょう。

あなたの研究結果が論文として世に出なければ、この世に存在しないのと一緒です。

Apple創業者である故スティーブ・ジョブズ氏も以下のような言葉を残しています。

いくら素晴らしいものをつくっても、伝えなければ、ないのと同じ。

研究に没頭するのはいいですが、自分の研究結果を伝える努力をしなければ世界を変えるどころか、科学界に貢献することすらできません。

大学・大学院とは研究者を育てる機関であり、研究者は「論文を出版する」経験を何度も何度も重ねることで一人前の研究者になります。

何が言いたいかというと、論文を出版する経験を積めないという事は、大学に所属するメリットの一つを享受できないということです。

そのような経験がしっかりとできる環境かどうかは、研究室のHPでPublicationの欄を見ればわかります。

出版された論文の著者の中に、(最近の)学生の名前は入っていますか?(HPが更新されておらず現在の所属メンバーの名前が確認できない、とかは論外ですが...)

また、学生が筆頭著者となっている論文がどれくらいあるかもチェックしましょう。

一般的に、論文は筆頭著者によって書かれています。学生が筆頭著者になっている論文が一つもない場合、その研究室に所属しても博士学生になるまで論文執筆の経験を積むことはできないでしょう。

6.博士課程の学生やポスドクがいるか

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博士学生やポスドクが在籍しているかどうかは、研究技術の継承度合いに大きく影響します。

前述の通り、研究室の中心戦力は博士学生やポスドクです。門知識や技術に関しても彼らが詳しいわけです。

学部生や修士学生は一部の例外を除いて赤ちゃんみたいなもので、研究について誰かに教えられるほどの知識や経験は持っていません。

学年が一つ上の学生が後輩を指導するケースも多いのですが、このシステムでは研究に関する知識・技術が十分に継承されず、世代交代を繰り返すと壊滅的な状態になることがあります。 

研究技術の継承は伝言ゲームみたいなものです。何世代か経ると、上の世代がしっかり伝えたはずの研究技術が全く違う形で残っていたりします。

そこで重要になるのが、長いあいだ研究室に在籍し研究に携わっている博士学生やポスドクという存在です。彼らにはそういった研究室のひずみを修正できる能力があります。言うなれば研究室の柱です。

しっかりとした指導を受けて正確な知識・技術を身に付けたいのなら、博士課程やポスドクが多く在籍している研究室を選ぶのが吉です 

7.グループ内の人間関係

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メンバー同士の人間関係もあなたの研究生活に大きく影響を与えます。

学生間の仲が悪いのも辛いですが、教授と准教授(または助教)の仲が悪いのは最悪です。教授と准教授との間の板挟みになり、どちらか一方との関係を悪くしてしまうケースが散見されます。

グループ内に仲の悪い人物が1人でもいると、あなたの研究生活は一気に辛いものになります。

研究室を訪問してグループの雰囲気を実際に感じ、自分に合っている場所なのかどうか判断してみましょう。

8.卒業生の進路

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卒業生の進路、とっても気になりますよね。みなさんにとって一番重要なことかもしれません。

卒業生の進路について研究室のHPに書かれてないようであれば、思い切って教授や学生に聞いてみましょう。

自分のキャリアプランを実現できない研究室に入ってしまうと、後悔するどころの話ではなくなります。

卒業生の進路をチェックする際のポイントは、博士課程に進学した学生や研究者になった卒業生がどれくらいいるのかというものです。

博士学生の多い研究室というのは、それだけ過ごしやすい環境である可能性が高いです。環境が悪い研究室で博士課程に進学したいとは思いませんよね。また、研究を楽しめない人は研究者になろうとは思いません。

博士学生が多く、研究者になった卒業生が多い研究室は、良い環境である可能性が高いです。

9.自分がやりたい研究かどうか

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これも確かに重要ですが、私は二の次で良いと思っています。

教授との相性など、他の要素の方が良い研究生活を送る上でよっぽど大切だからです。

それに、卒業後にアカデミアに残るにしろ企業に就職するにしろ、学生の時と全く同じ研究をすることは不可能ですし、許されません。

自分の興味ある分野の少し外にまで視野を広げて、自分に合う研究室を探すのがオススメです。

研究をあんまりやりたくない人は 

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上記のアドバイスは「研究に対するやる気がある人」向けです。

ただ、「自分はどうしても研究をやりたくない!」という方もいらっしゃいますよね。そういう方は、研究以外の時間が多く取れそうな研究室を探すのがいいでしょう。

大学には研究に積極的ではない教授がたまに居ます。そういった教授の研究室には、学部卒で就職したい学生が多く集まる傾向があります。そのような研究室を見つけて残りの大学生活を楽しむことも、選択肢の一つだと私は思っております。

それでは、みなさんが自分に合った研究室に配属されることを願っています。

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