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論文だけでなく、教科書も読もう

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研究プロジェクトをスタートさせる前に、論文を読んで先行研究を調査することは大切だ。先行研究の調査なしに研究は成り立たない。

しかし、調査ではなく、知識をインプットすることが目的の場合、論文はそれに適した情報媒体ではない。学部~大学院レベルの基礎的な知識が身についてない場合、まずは教科書を読むべきだ。

研究分野の基礎的な知識が身についていると、スムーズに研究を開始・遂行することができる。一見遠回りに見えるが、まずは学部~大学院レベルの教科書を読んで基礎知識をつけよう。

論文は雑誌や新聞のようなもの

論文は雑誌や新聞によく似ている。

雑誌や新聞をチェックすれば世の中の最新情報を知ることができるが、特定の分野に関するまとまった知識を身につけられるわけではない。せいぜい、友人・知人との会話のネタになったり、世間知らずになったりするのを防いでくれるだけだ。

論文誌には最新の研究結果がまとめられているので、載っている情報の新鮮度が極めて高い。雑誌や新聞に似た媒体なのだ。論文のIntroductionをチェックすれば、当該分野の最新動向を知ることができる。

しかし、論文は読者を教育する目的で書かれてはいない。知識が網羅的および有機的にまとめられていないため、学習には向かないのだ。一生使える知識を身に着けたいのなら、教科書を読んだり講義を受けたりする方がよっぽど効率的で質の高い学びができる。

情報の正確性に難あり

論文に乗っている情報はが必ずしも真実だとは限らない。

1つの論文が科学界をまっぷたつにするような大論争を巻き起こすことがある。優秀な科学者であっても、正しい結論を導くのは難しいし、彼らが言っていることが常に正しいわけではない。

研究不正論文もこの世にはたくさんある。また、研究不正とまでいかなくても、分析が甘かったり、得られたデータから間違った結論を導いてしまっている論文は山ほど存在する。つまり、論文には真実でない情報が載っている可能性が高い。 

脳に定着した知識を上書きするのは難しい。そのため、間違った知識を多く含んでいる情報媒体を用いて最初から勉強するのは得策とは言えない。

もちろん、教科書に載っている知識も間違っている場合がある。しかしながら、教科書に載っている知識は、科学界で長期にわたって数多くの科学者からの批判を浴びた結果、真実として認められてきたものであるので、間違いである可能性はかなり低くなる。

論文の中でもReviewと呼ばれるものは最新の研究をまとめた論文であり、大学院の教科書に近い。知識をインプットするために読むのも良いだろう。新しくできた研究分野の場合、良い教科書が存在しないことが多いため、知識を得るためにReviewを読むことが多いようだ。 

ほとんどの論文には価値がない

極論を言うと、世に出る論文の99%は無価値だ。研究テーマが時代遅れだったり、アプローチが間違っていたり、そもそも取り組む必要があるのか疑わしい研究であったり...。

その研究に価値があるかどうかは、良くも悪くも、数十年後の人類や社会によって決められる。 数多くの論文が出版される現在では、99%の研究は後世に語り継がれることのないものである。

重箱の隅をつついた研究に必要以上に振り回されないよう、研究の重要性を判断しながら論文を読もう。

読みづらい論文が多い

ノンネイティブの研究者によって書かれた英語論文は多い。そのような論文は読みづらいのが常だ。

査読を通過してきているので一定の質は確保されているが、編集者・査読者あわせてせいぜい4~5人しかその論文の内容をチェックしていない。

著者のライティングスキルが低いと、書かれている内容を正しく理解できないこともある。

それに対して、教科書は著者が数ヶ月単位の期間をかけて丁寧に執筆し、出版社のプロの編集者の目を通ってきているので、文章の質が比較的高い。

また、読者の理解を助けるために工夫が施されていることが多いので(イラストやコラムなど)、教科書を使った方が楽に知識をインプットできる。

教科書と論文、バランスよく読もう

私が伝えたいのは、教科書と論文をバランス良く読みましょうということだ。

知識をインプットすることが目的であるなら教科書、先行研究の調査や最新動向をチェックしたいときは論文、というように使い分けるのが良いだろう。

また今後の学習計画を定めるために論文を読み漁るのも良い。論文を読みば将来どのような知識・スキルが必要か分かる。

論文を読んでいる姿はなんとなくカッコよく見えるので、何も考えずに手に取ってしまいがちだ。だが、基礎的な知識もしっかりと身につけるようにしよう。