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イギリス大学院(修士)受験記

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本記事は、イギリス大学院の受験記である。受験に至った経緯、出願方法、進学先について述べる。

イギリス大学院への留学を目指している方々の参考になれば幸いだ。

イギリス大学院を目指した理由

アメリカの大学院を休学することを決意

2017年4月2日現在、私はアメリカのミシガン大学(University of Michigan)の博士課程を休学している状態だ。

現段階では籍は存在するが、あと数ヶ月で自主退学という扱いになるだろう(追記:退学になったようだ)。

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休学手続きの際に提出した薄っぺらい書類。受験時は大変だが、辞める時はあっさりだ。

では、なぜ現在このような状況なのだろうか?簡単に説明していこう。

私は2015年12月にアメリカの大学院に出願し、幸運なことにミシガン大学の博士課程から合格を頂いた。

翌年5月からミシガン大学にて研究をスタートさせ、9月からは講義も始まった。

しかし、ここで問題が発生する。当時所属していた研究室の指導教官とウマが合わなかったのだ。

指導教官と私のどちらに非があるのかについては、今の私では答えを出すことが出来ないので言及しない。

ミシガンでの研究生活に希望が持てなくなったことだけは確かだ。

別の研究室に移りしばらく研究していたが、最終的には、ミシガン大学を休学し、他の大学院に移って新たな分野を学ぶことに決めた。

新たな分野

アメリカで苦しんでいる時に惹かれたのが、心理学や神経科学など、脳や心に関する学問領域だった。

自分のバックグラウンドを生かせるのは神経科学の方だと感じたので、イギリス大学院の神経科学科に出願することにした。

ミシガン大学はアメリカでもトップクラスの大学なので、辞めることに多少の未練はあった。

しかし、そのようなくだらないプライドは、自分の直感の前に成す術もなく崩れ落ちることになった。

今回は、博士課程ではなく修士課程に出願した。

すでに私は修士号を持ってはいるが、神経科学に関する研究スキルは持っておらず、いきなり博士課程に入って研究をスタートさせるのは厳しいと感じたからだ。

そもそも、この状況で博士課程に合格するのは難しいと思う。

なぜなら、海外では博士学生は自立した研究者として扱われ、給料も支払われるため、即戦力級の人材でないと入学試験をパスできないからだ。

イギリスの大学院を選んだ理由

イギリスの大学院を選択した理由は、イギリスでは1年間で修士号を取得できるので、お金と時間を最小限に抑えられると思ったからだ。

2017年秋からの留学を目指して出願を行い、いくつかの大学から合格を頂いた。

しかし、諸事情により金銭的な問題が発生したため、入学を1年伸ばすことにした

defer申請をすることで入学を1年先に伸ばすことが出来るので、いざという時のために、覚えておくとよいかもしれない。

アメリカ大学院とイギリス大学院の比較については、こちらの記事をどうぞ。

興味分野の絞り込み

神経科学を勉強していると、次第に人工知能への興味が湧いてきた。この2つの分野は強い繋がりを持っているからだ。

特に、「意識」と「知能」に強い関心があるので、それらを解明すべく、脳・心についての研究を行いたいと思っている。

また、脳・心を研究する過程で得られた基礎的な学識が、知能と意識を有する人工知能の開発に繋がると考えている。

そのため、翌年は、神経科学と人工知能の境界領域である「計算論的神経科学」や「認知科学」の学科へ、追加で出願を行なうことにした。

出願の流れ

それでは、出願の流れについて解説しよう。大まかな手順は以下の通りである。

1. 出願代行サービスに申請

初めてイギリス大学院に出願する人は、日本国内の出願代行エージェントを利用すると良いだろう。

代表的なエージェントはbeoSI-UKの2社だ。どちらも無料の出願サポートを実施している。

サポート申し込み時に2万円程度のデポジットを支払う必要があるが、合格後にきちんと返金される。

私はすでに海外大学院出願の経験があったので、利用する必要はなかったのだが、興味本位でbeoの出願サポートを利用させてもらった。

出願代行といっても、出願書類自体を作成してくれるわけではない。

各書類のチェックや、出願専用サイトへの書類のアップロード、大学からのメールの確認などを代行してくれる。

ただし、beoとSI-UKの無料サポートプランでは、オックスフォードやケンブリッジに代表される上位校への出願代行は実施していない。

そのため、上位校への出願は自分自身で行った。

2. 出願校選定

私が出願準備を始めたのは2016年12月と比較的遅いタイミングであったので、大学ランキングなどを参考にパパッと志望校を選んだ。特に、US NEWSの科目別ランキングを参考にした。

翌年は準備期間が十分あったので、プログラムのカリキュラムを詳細に調べ、facultyの実績なども参考にして、出願校を決定した。

結局、2017年は7校、2018年は2校に出願した。

3. 推薦状の手配

推薦状が2~3通必要だ。私が出願した大学では2通だけ要求されたので、日本時代の指導教官とフランス留学時代の指導教官に執筆をお願いした。

4. 出願書類の作成

推薦状の他に必要になるのは、Personal Statementと呼ばれる出願理由書、履歴書、成績証明書、そしてIELTSのスコアである。

Personal Statementは500~1,000 words(A4用紙1~2枚)で志望理由を記す必要があり、非ネイティブには結構ハードだ。 

私の場合は、それぞれの書類を1ヶ月ほどかけて作成した。

ちなみに、IELTSのスコアを出願時に持っていない場合でも出願が可能であり、合格通知も受け取ることができる(条件付き合格と呼ばれている)

出願者のバックグラウンドのみを評価して、合否を出してくれるのだ。

もちろん、学期開始前に規定スコアをクリアできなければ、入学することはできない。

 

5. ウェブで出願

各大学の出願専用サイトにアクセスし、各書類をpdf/word形式でアップロードする。それなりに大変なので、余裕をもって取り組みたい。

エージェントを利用する場合は代わりに手続きを行なってくれる。

私のスペック

合否について記す前に、私のスペックを簡単に紹介しよう。

「どの程度の実績があればどのレベルの大学院に合格できるか」に関するデータは、留学志望者にとって最も重要なものなので、ぜひ参考にしてほしい。

2017年および2018年に出願したため、当時の実績をそれぞれ記しておく。

年齢
2017年:24歳
2018年:25歳
学歴
2017年:
地方国立大の化学・生物学科を3年で早期卒業した後、同大学の修士号を取得。
その後、米国ミシガン大学の博士課程に進学。
2018年:
上記に加え、放送大学および海外大学オンラインコースにて、心理学、神経科学、およびコンピュータサイエンスの単位を取得。
職歴
2017年:
日本およびアメリカの大学院でのTA・RA
2018年:
上記に加え、ITベンチャーにて半年間のインターンを経験(人工知能関係)
英語力
2017年:
IELTSスコアなしで出願(出願前の時点ではTOEFL90点)
2018年:
5月にIELTS7.0を取得
留学経験
・フランスで半年間の研究留学
・アメリカで半年間のPhD留学の後、退学
発表論文
2017年:
査読付き論文×2
(いずれも筆頭著者、そのうち1報は化学分野におけるトップジャーナル)
2018年:
査読付き論文(筆頭著者)を1報追加
学会発表
・国際学会×4
・国内学会×1
賞歴
・留学用給与奨学金×2(フランス留学 + アメリカ留学)
・国内給与奨学金×1
・国際学会での優秀発表賞×2
・学内の優秀学生賞 

合否結果と反省点

合否結果は以下の通りである。

2017年:

University of Cambridge
MPhil in Basic and Translational Neuroscience
結果:不合格

Imperial College London
MSc in Translational Neuroscience
結果:条件付き合格(IELTS7.0)

University College London
MSc in Neuroscience
結果:不合格

King's College London
MSc in Neuroscience
結果:条件付き合格(IELTS 6.5)

University of Bristol
MSc in Molecular Neuroscience
結果:条件付き合格(IELTS 6.5)

University of Sheffield
MSc in Translational Neuroscience
結果:条件付き合格(IELTS 7.0)

University of Sussex
MSc in Neuroscience
結果:不合格
2018年:

University of Sussex
MSc in Intelligent and Adaptive Systems

出願日:2017年10月20日
結果受領日:2017年12月4日
結果:条件付き合格(IELTS 6.5)→ 無条件合格

University of Birmingham
MSc in Computational Neuroscience and Cognitive Robotics

出願日:2017年10月27日
結果受領日:2018年1月10日
結果:条件付き合格(IELTS 6.5)→ 無条件合格

これまでの専門分野と異なる分野に出願したので、どこにも受からないのではないかと心配していたが、意外にアッサリと合格になった。

特に、高い研究レベルを誇るImperial College LondonとKing's College Londonから合格をもらえたことは嬉しい。

反省点としては、出願した時期が遅かった点が挙げられる。

イギリス大学院はローリング形式を採用しているため、出遅れると不利になる。

ローリング形式とは、9月頃から出願を受け付け、出願者の能力が合格基準に達していた場合、すぐに合格通知を出す入試形態のことだ。

つまり、早いもの勝ちなのである。上位校にどうしても受かりたい人は9月頃に出願を終えるのが普通である。

この反省を生かし、翌年の出願では10月には出願できるよう準備を行なった。

進学先について

興味・関心や金銭面などを考慮に入れ、総合的に判断した結果、University of Sussexに進学することに決めた。

世界を見渡しても、意識の研究を集中的に行なっている拠点はそこまで多くはない。

SussexはSackler Centre for Consciousness Scienceという意識研究センターを有し、有力な研究者が多数所属している。

私が合格したMSc in Intelligent and Adaptive Systemsもその傘下にあり、私の学問目標を追求できる理想的なプログラムだと考えている。

また、Sussexの評判について調べた結果、とある記事を発見した。過去に在籍した学生が記した、学科や講義についてのレビューらしい。

この記事を読んでみた結果、個人的に興味惹かれる講義が多く、楽しめそうな雰囲気がある。

名声自体は他の大学院の方が優れているが、facultyの実績やコース内容を見ると、Sussexの方が私にマッチしていそうだ。

ちなみに、Wikiには以下のような記述があり、ロケーションも優れているようだ。非常に楽しみである。

SussexでMasterを取得した後はPhDに進学するつもりである。

アメリカに戻りたいと思っているが、その時々で情勢を見ながら、という感じになりそうだ。

それでは、今回はこれで。

サセックス大学で特筆すべきものの一つはその美しいキャンパスである。

250エーカー(約1キロ平方)という広大なキャンパスは英国政府が「傑出した自然美を持つ地域 (Area of Outstanding Natural Beauty)」に指定したSouth Downs国立公園内にある。

イングランドに美しいキャンパスを持つ大学は数あれど、このように政府認定の美しい景観の中にキャンパスを構えるのはサセックス大学だけである。

大学周辺には日本の富良野を思わせるようなのびやかな丘陵地帯が広がり、そこで作物が育てられたり、牛や馬が草をはんでいる。

実際、キャンパスの隣も牧場で乳牛が放牧されており、牛を間近に見ることができる。

キャンパスの西隣はイングリッシュ・ヘリテッジが管理するStanmer Parkで、美しい草原、小道、教会などがあり、晴れた日の散策に最適である。

上記のような美しい自然に囲まれたキャンパスは、「浜辺のロンドン」と呼ばれるほど活気があり、ビーチ、音楽、パーティの街として有名なブライトン中心部からわずか6キロの地点にある。

ブライトン中心部には多数のパブ、レストラン、ナイトクラブ、ショッピングセンターや遊園地、映画館などもある。

また夏になるとビーチは海水浴客でごった返し、無料で映画上映がされたり、花火が打ち上げられたりと多数のイベントが開催される。

サセックス大学のキャンパスは周辺の豊かな自然に囲まれつつ、都会的な文化施設にも簡単にアクセスできる素晴らしいロケーションにある。

2006年秋、イギリスの大学40校に留学している学生の投票によってサセックス大学が「滞在するのに最良の場所」に選ばれたことも、このロケーションのすばらしさを証明している。